【日経平均】ワシントンで問題が解決しても119円高どまり

2013年10月17日 20:32

 NYダウは205ドルの大幅高。連邦議会上院の与野党が、2月7日までの債務上限引き上げによる米国債デフォルトの回避、1月15日までの暫定予算案による政府機関の閉鎖解除について合意に達したと発表。オバマケアはごく一部を見直しただけだが、合意案は下院多数派の共和党も賛同を表明していて難なく可決される見通しで、問題の解決が決定的になった。デフォルト回避で金融株のJPモルガン・チェース、ゴールドマン・サックスは大幅高で、決算を発表したバンク・オブ・アメリカも純利益7.3倍、1株当たり利益が市場予測を上回り株価を上げた。17日朝方の為替レートはドル円は98円台後半、ユーロ円は133円台後半で、円安が進んでいた。

 天気もアメリカの財政問題も台風一過だが、解決を織り込み済みなのかCME清算値は14625円と控えめ。日経平均も172.94円高の14640.08円でスタートする。TOPIXは1200台を回復。ドル円は一時99円にタッチした。14600円台の高値もみあいの小動きが長く続き、前場は14636円で終了。その頃、ワシントンではオバマ大統領が記者会見で「デフォルト危機は回避された」と述べ、合意案は上院、続いて下院の本会議で可決されて大統領が法案に署名し、10月1日の政府機関閉鎖開始から16日間の騒動は「オバマ粘り勝ち」で一件落着となった。

 後場は前場と同水準で始まるが、午後1時半頃から下落して14600円を割り込み、踊り場はあっても2時台もズルズル下げていく。2時17分に14500円を割って14492円の安値をつけ、TOPIXも1200を割り込んだが、前日の高値が14493円だったので、すなわちこれは「朝のマド埋め」。台風は去っても窓はきちんと閉める。マド埋め完了後はたちまち反転して14550円を超え、終値は119.37円高の14586.51円で7日続伸。TOPIXは+9.47の1206.25と反発した。売買高は20億株、売買代金は1兆7121億円で、売買手控えムードをもたらした大きな問題が解決したばかりで、商いはまだテイクオフしていない。

 値下がり銘柄296に対し値上がり銘柄は1323で4分の3を占めた。値上がりセクター上位は保険、その他金融、金属製品、機械、その他製品、食料品など。下位は鉱業、空運、海運など。値下がりセクターはパルプ・紙、石油・石炭、情報・通信の3業種だった。

 この日もプラス寄与度1位のファーストリテイリング<9983>とマイナス寄与度1位のソフトバンク<9984>の「御三家綱引き合戦」で、両者+11.77円対-11.77円で全く互角の引き分けでも、京セラ<6971>やTDK<6762>らがゾロゾロ加勢してプラスが225種中185を占め、断然優位だった。

 メガバンクはアメリカ金融大手の大幅高もあり三井住友FG<8316>85円高、三菱UFJ<8306>7円高、みずほ<8411>1円高と反発。証券も堅調で、日本アジア投資<8518>が15円高で17.24%上昇し値上がり率1位、売買高10位とランキング入りした。

 シャープ<6753>はドイツ証券が目標株価を引き下げ9円安で値下がり率5位。公募増資で割り当てられた新株売りが続いているのか売買高1位、売買代金4位だった。パナソニック<6752>は後場落ち込んで15円安、ソニー<6758>は4円高と伸びなかったが、この両銘柄は有機ELテレビ開発協議が難航して越年する見通しという記事が出ていた。その中で富士通<6702>はゴールドマンサックスがレーティングを2階級特進させ22円高で大幅続伸し値上がり率16位に入った。売買高も15位。東京電力<9501>は2円安だったが、関西電力<9503>は9月中間期の最終損益を320億円の赤字から150億円の黒字へ大幅に上方修正。ポジティブサプライズでJPモルガン証券はレーティングを引き上げ、36円高になった。

 IHI<7013>は12円高。9月中間期の営業利益が170億円前後の模様との業績観測報道を好感された。利益率の高い航空機エンジン部品が好調で減益予想が増益予想に変わっている。その航空会社はSMBC日興証券が、JAL<9201>は羽田空港国際線の発着枠冷遇を根拠にレーティングを引き下げ、優遇されたANAHD<9202>は逆に引き上げて、JALは10円安、ANAHDは1円高。東京五輪もあるので羽田発着枠配分の業績へのインパクトは相当大きいとみられる。その羽田空港アクセスの京浜急行電鉄<9006>は9月中間期の営業利益予想を46.2%上方修正して35円高だった。1年前のダイヤ改正が効いて交通事業の収益が増加している。

 上下水道管が主力の日本鋳鉄管<5612>は9月中間期の営業利益見通しを従来の4.8億円から6億円に上方修正して減益から増益に変わり25円高で値上がり率3位。老朽化インフラの更新需要がある。逆に伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)<4739>は前日、業績予想を最終増益から最終減益に下方修正したが、80万株上限の自社株買い、自己株式消却を同時発表すると265円高で値上がり率8位に入った。自社株買いはとてもよく効く解毒剤。前日にそれを〃服用〃したヤマダ電機<9831>は11円高と続伸しており効き目は長持ちするようだ。「眼鏡のユニクロ」ことJIN<3046>はアメリカ市場進出を発表し180円高で値上がり率17位。5年で全米100店舗を目指すという。

 この日の主役は商いを伴って上昇した銘柄が多かった自動車。売買代金3位のトヨタ<7203>こそ20円安だったが、売買高、売買代金とも2位のマツダ<7261>が15円高で、売買高12位、売買代金6位の日産<7201>が22円高、売買代金7位のホンダ<7267>が45円高、売買代金13位の富士重工<7270>が19円高と売買ランキングをにぎわせた。中間決算発表の後は11月22日からの東京モーターショーが控えていて、この秋は好調な自動車業界のニュースが増えそうだ。