【日経平均】36円高で5日続伸でも内容はブレーキかかる

2013年10月15日 20:27

 前週末の11日のNYダウは111ドル高で3日続伸し15200ドル台に乗せた。オバマ大統領と共和党幹部の協議に政府機関の閉鎖解除も含まれていると判明し問題解決期待が高まった。金融大手のJPモルガン・チェースの決算は赤字、ウェルズ・ファーゴは市場予測を上回る決算内容だったが、ともに小幅安。

 14日発表の中国の消費者物価指数(CPI)は+3.1%と7ヵ月ぶりの高い伸びで生産者物価指数(PPI)も下落幅が縮小。ともに市場予測を上回った。ノーベル経済学賞はS&Pケース・シラー住宅価格指数の生みの親のエール大学のシラー教授とシカゴ大学のファマ、ハンセン両教授が受賞した。シラー氏はイエレン氏をFRB次期議長に推すオバマ大統領宛推薦状に署名している。

 14日のNYダウは64ドル高。「コロンバス・デー」の祝日で商いが減る中、マイナスで始まるがオバマ大統領と上下両院トップが午後に会談すると伝わって期待がふくらみ4日続伸した。しかし会談は延期になり情勢は進展しない。15日朝方の為替レートは、ドル円は98円台後半、ユーロ円は133円台後半で、前週末より円安・ユーロ高が進んだ。

 CME清算値は14500円を突破し、三連休明けの日経平均も105.53円高の14510.27円で始まる。TOPIXは1200の大台を回復。午前9時台は14500円を割っても下値は14473円と底堅い。しかし10時台は値下がり銘柄が増えて徐々に下げて14450円を一時割り込む。TOPIXも一時1200を割り込んだ。

 平均株価は11時台に持ち直し、水準を後場開始にも持ち越したが、「成長戦略実行国会」が召集され安倍首相が所信表明演説を行った午後1時台、当てつけのように円高に振れた為替とともに一段安。日経平均は一度もマイナスにならなかったが、TOPIXは1200の大台を割ってプラスとマイナスの間を何度も往復し、2時台はマイナスが優勢だった。結局、日経平均終値は36.80円高の14441.54円で小幅高ながら5日続伸。TOPIXは+0.30の1197.47でかろうじてプラスだった。売買高20億株、売買代金1兆6203億円と商いは盛り上がらなかった。

 値上がり銘柄692、値下がり銘柄923で値下がりのほうが優勢。東証1部33業種別騰落率のプラス業種はパルプ・紙、空運、金属製品、電気・ガス、海運、その他金融など。マイナス業種は保険、証券、不動産、非鉄金属、陸運、倉庫などだった。

 日経平均採用225種はプラス102、マイナス100で拮抗。プラス寄与度トップはファーストリテイリング<9983>だが750円高では+29円どまり。ソフトバンク<9984>は後場失速し10円高でプラス寄与度は+1円に過ぎなかった。マイナス寄与度トップは-5円の京セラ<4975>だった。

 金融系が悪かった日でメガバンクにプラス銘柄なし。証券は野村HD<8604>6円安、大和証券G<8601>4円安の他、値下がり率ランキングでは6位に水戸証券<8622>、7位に岩井コスモ証券<8707>、13位に東洋証券<8614>、15位にマネックスG<8698>と中堅どころが顔を出していた。不動産も三井不動産<8801>65円安、三菱地所<8802>24円安、住友不動産<8830>20円安と良くなかった。

 自動車業界の元気印、富士重工<7270>は9月中間期の営業利益が1500億円で前年同期比3.5倍という好業績の観測記事が出て21円高。マツダ<7261>はBNPパリバが投資判断を引き上げ売買高、売買代金とも2位の13円高で5日続伸と好調。その一方で利益確定売りに押されてトヨタ<7203>は20円安、日産<7201>は8円安だった。ソニー<6758>の平井一夫社長は11日のインタビュー記事で「世界のスマホ市場はまだ伸びる。シェア3位を確実におさえる」と答えて19円高。ウエアラブル端末の開発にも力を入れるという。シャープ<6753>は7円安で前週から終値が300円に届かない。8円安のヤフー<4689>も5日間プラスがない。NTT<9432>は電子データ漏えいを短時間で測定できる新技術を発表し40円高だった。

 王子HD<3861>は29円高で値上がり率8位に入りパルプ・紙セクターを業種別騰落率トップに押し上げた。約300億円で売電専用の発電設備を新・増設して電力小売事業参入に意欲的という報道が急伸のきっかけ。ミサワホーム<1722>は9月中間期の純利益が前年同期比約8割増と報じられ40円高で5日続伸した。中小海運株も11日に9月中間期の経常利益を46%上方修正を発表したNSユナイテッド海運<9110>が値上がり率3位、第一中央汽船<9132>が同4位に入っていた。

 DOWAHD<5714>は今期の業績見通しで純利益を前期比25%増に上方修正したが材料出尽くしで59円安で値下がり率4位。ガリバー<7599>は42円安で同2位。9月中間決算の業績不振の観測記事が出たニコン<7731>は、デジカメのトンネルの出口が見えず営業利益54%減で38円安だった。

 この日の主役は「エンターテイメント」関連。業績が回復したのが東宝<9602>と松竹<9601>で、ともに2014年2月期の業績見通しを上方修正した。宮崎駿アニメ映画の『風立ちぬ』で興行収入114億円の大ヒットを飛ばした東宝は29円高、4月に新築成った東京・東銀座の歌舞伎座が連日満員の盛況の松竹は21円高。コナミ<9766>は前週、ラスベガスにスロットマシンの新工場を建設するニュースが伝えられ54円高だった。なお、ソニーは平井社長が「携帯」「映像」「ゲーム」で2015年3月期に営業利益2100億円以上をあげるのが目標と話しており、投資ファンドが何と言おうと、「ワン・ソニー」への求心力を高める原動力としてエンタメ部門は不可欠で、持ち続ける意向だという。(編集担当:寺尾淳)