新車を手に入れて、タイヤを見ると「ヨコハマタイヤ」が装着されていたという経験を持つ人も多いだろう。その「ヨコハマタイヤ」のブランドを持つのが、古河グループのタイヤ・ゴムメーカーの横浜ゴム<5101>だ。世界のタイヤ市場シェア(2011年、売り上げベース)では、3.2%だが、実は同社は海洋商品の世界のトップメーカーのひとつで、空気式防舷材が世界シェア第1位、マリンホースが第2位を占めている。
横浜ゴムはインドネシア・バタム島に海洋商品の新工場を建設する。約30億円を投資し材料混合、成型、加硫までを行う工場を建設し、2015年6月から生産を開始する。現在、海洋商品の生産は日本で行っているが、新工場が完成すると1工場体制となり、生産規模も現在に比べ約1.5倍に拡大する。
同社はさらに市場シェア拡大を目指す考えで、コスト競争力に優れた海外生産拠点の新設を検討してきた。バタム島は、インドネシアの自由貿易基地として、同じリアウ諸島のビンタン島、カリムン島とともにインフラ整備が行われ、外資誘致・奨励を行っている島だ。
これまでもシンガポールや日本など多くの外資企業がバタム島を保税加工地域として生産・加工拠点を設置している。アジア最大のハブ港であるシンガポールから20kmと近く、国際物流面での利便性に優れることも立地の決め手となった。
新工場はバタム島東部のカビル工業団地に建設する。本年度中に製造会社として資本金10億円で「横浜工業品製造インドネシア」を設立し工場建設をスタートさせる。新工場は約5万ヘクタールの土地使用権を取得し建設するが、将来的には隣接する土地区画への拡張も計画している。
同社は中期経営計画において、17年度をめどに工業品に航空部品とスポーツを加えたMB(マルチプルビジネス)事業全体の海外売上高比率を現在の33%から50%に引き上げる計画を立てている。インドネシアでの海洋商品新工場建設もその一環として行うものだ。
主に原油などの海上輸送に使用される海洋商品は、世界的な石油需要の増加に伴い順調に需要を伸ばしている。(編集担当:久保田雄城)