【今週の展望】外部環境が好転し、ひとえに需給の改善待ち

2013年11月10日 20:06

 7日のECB(欧州中央銀行)理事会で、政策金利は0.5%から0.25%に引き下げられた。大方の事前予測は据え置きだったためサプライズだったが、ユーロが売られてもユーロ円は130円を割らなかった。これで区切りがついて今後、追加金融緩和観測でユーロが弱含む余地はなくなり、ヨーロッパ株とユーロはアク抜けした。中国も「3中全会」が12日に終了すれば、噂になっている不動産バブルつぶしの荒療治がもし決まったとしても、区切りをつけてアク抜けができるだろう。

 東京市場自体も、いろいろ憶測を呼んでいたカラ売り規制の緩和が5日から始まったが、いざ始まってしまえば不安も解消する。フタを開けてみると、悪材料で売り込まれた銘柄も前日終値から10%下落すると発動する「トリガー条項」がうまく効いて下げ止まり、規制緩和のせいで市場がストップ安比例配分の雨あられになるという事態は起きなかった。カラ売り規制緩和にピタリと合わせた絶妙のタイミングで今、食材偽装問題が小売・外食業界をパニックに陥れているが、温存しておいた情報を一斉に流して「スキャンダルで暴落する銘柄のカラ売りでしこたま儲けてやる」と狙っていた勢力が仮にいたとしたら、おそらく今ごろ、思惑通りにならなくて悔しがっているだろう。さもしい謀略をめぐらす策士は、策に溺れる。

 3月期決算企業の9月中間期決算も6日のトヨタ<7203>の発表でヤマ場を越え、保険業界を除けば来週で終了し区切りがつく。来週はアベノミクスの「大胆な金融緩和」の矢、「機動的な財政出動」の矢の恩恵をたっぷり受けた金融と建設の決算が焦点なので、おそらく有終の美を飾れることだろう。マイナーSQの8日、株価が一度もSQ値を下回らずに終わり「まぼろしのSQ」が出現したことも、SQ値が下値のサポートラインになると考えれば、吉兆ととらえられる。

 このように、今週から来週にかけて「何が起きるかわからないから」と投資家のマインドをリスクオフさせ、手控えムードによる薄商い、株価停滞の大きな原因になっていた「○○待ち」に、どんどん区切りがついている。外部環境は好転して、長かったトンネルの出口の光がようやく見えてきた。あとは5月23日以来、まるで腸内の「宿便」のように悪玉菌の巣窟になって毒素を発散し続け、東京市場の体調と投資家の気分をしつこく乱し続けてきた需給さえ改善すれば、再び15000円突破、15942円の年初来高値更新に向かって発進できる。その新たな出発にふさわしい日付の「野田前首相の解散・総選挙発言1周年」の14日、「安倍相場1周年」の15日は、来週の木曜、金曜に迫っている。

 というわけで、アメリカのムードの変化、ヨーロッパや中国のアク抜け、中間決算シーズン終盤を好決算の業種で締めくくれる見通しなどがあいまって、需給の改善がまだ先でも来週の日経平均は上昇をみせ、その終値のレンジは14300~14700円とみる。来々週以降、需給の「宿便」が一部でも外に出れば、15000円はあっさり越えられるだろう。(編集担当:寺尾淳)