【日経平均】中国市場の続落にも影響され108円安と反落

2013年11月07日 20:49

 NYダウは128ドル高で史上最高値を更新。ECBの追加緩和期待によるヨーロッパ株の反発、GDP、雇用統計の改善ペースは小さいという予想で量的緩和策の縮小先延ばし観測が高まったことで大幅高になった。7日朝方の為替レートは、ドル円は98円台後半、ユーロ円は133円台前半だった。

 日経平均は18.25円高の14355.56円で始まるが、10分ほどで14300円まで下げ、そこから約30分で急浮上して14371円まで上げた後は振幅を縮めながら前日終値近辺の小動きだったが、TOPIXは低調でマイナスが続く。午前10時30分すぎ、14300円を割り込み14279円まで一気に下落する。上海市場が2日続落、香港市場が4日続落でスタートしたためで、9日から開催される中国共産党第18期中央委員会第3回全体会議(「3中全会」)を前に金融引き締め方向に動いているのに加え、山西省太原市で共産党の建物を狙った連続爆弾テロ事件が発生したことが背景にある。その後、日経平均は14300円近辺まで戻すが、ドル円が円高方向に振れて11時台には再び下げて一時14250円を割り込み、前場はプラスに戻ることなく終了した。

 後場も引き続き軟調で、マイナス圏の14230~14270円のレンジで推移した後、ドル円が円安方向に戻って午後1時30分すぎには14280円を超えるが、2時に9月の景気動向指数速報値が発表されると下振れして14240~14280円のレンジで小動き。景気動向指数の一致指数は8月比0.6ポイント上昇の108.2、先行指数は8月比2.7ポイント上昇の109.5で、一致指数が伸び悩み基調判断は据え置いた。大引け直前に値を崩し結局、終値は108.87円安で前日の上昇分をほぼ帳消しにした。TOPIXは-7.43の1184.73。売買高は22億株、売買代金は1兆6951億円で、下落しても薄商いに逆戻りした。

 値上がり銘柄463に対し値下がり銘柄は1186でほぼ3分の2。上昇セクターがゴム製品、繊維、医薬品、鉱業の4業種しかなく、下落幅の小さいセクターはパルプ・紙、情報・通信、空運、精密機器など。下落幅の大きいセクターはガラス・土石、鉄鋼、証券、建設、倉庫、電気・ガスなどだった。

 日経平均プラス寄与度1~3位はブリヂストン<5108>、テルモ<4543>、ダイキン<6367>だったが、束になっても+7円でマイナス寄与度2位のソフトバンク<9984>の-8円にかなわない。1位はファーストリテイリング<9983>で-19円だった。

 メガバンクは全て下落し証券も不振。トヨタ<7203>の決算は数字は悪くないがポジティブなインパクトに欠けるというところ。朝は高かったがその後は終日マイナスで80円安。想定為替レートをドル円97円、ユーロ円130円に引き上げても通期の営業利益見通しが市場予測に届かないのがマイナス材料だった。富士重工<7270>は28円安、ホンダ<7267>は30円安。日産<7201>は2円高だったが、日産東京販売HD<8291>がストップ高の80円高で値上がり率1位、日産系部品メーカーのカルソニックカンセイ<7248>が66円高で値上がり率6位。どちらも今期の業績見通しを上方修正している。

 決算を前週通過した電機はソニー<6758>が5円高、パナソニック<6752>が13円安、シャープ<6753>は値動きなし。日立<6501>1円高、東芝<6502>1円高で、全面安の中で健闘していた。カシオ計算機<6952>は9月中間期の純利益が30%増の56億円と良く野村證券が目標株価を引き上げたが、市場予測に足りず28円安。航空電子<6807>はストップ高の150円高で値上がり率4位。通期の業績も配当も見通しを上方修正した。ストップ高の80円高で値上がり率3位のレオン自動機<6272>は4日続伸する間に株価が約2倍になっている。

 東レ<3402>は1時に決算を発表し、9月中間期の営業利益が20.7%増の442億円で市場予測を上回って急伸。通期見通しは据え置きでも終値は35円高で値上がり率15位。売買高12位、売買代金7位と後場の買いの主役になる。炭素繊維だけでなくレガシー部門の繊維部門も増益だった。大引け後に決算発表を控えたブリヂストンは95円高でゴム製品セクターを業種別騰落率1位に押し上げた。三菱マテリアル<5711>は9月中間期の純利益が80%増と好調だったが7円安。新日鐵住金<5401>が4円安など鉄鋼セクターはふるわなかった。

 11時に10月の東京都区部のオフィス空室率が発表され、9月の7.90から7.56へ順調に低下。しかし不動産大手は直後は高くても後場に値を崩してマイナスになり、効果は長持ちしなかった。値下がり率1位の名村造船所<7014>は9月中間期は増収増益でも通期見通しを据え置いたために249円安で、ちょっと気の毒。JVCケンウッド<6632>は円安による原材料高への対応が遅れて収益が悪化し、9月中間期は最終赤字51億円。通期最終損益は30億円の黒字見通しを51億円の赤字見通しに変えた。期末配当見通しは無配に変更し、役員の降格人事、希望退職募集を発表するという深刻さ。19円安で年初来安値を更新し、値下がり率4位に入った。

 ゲーム関連では通期業績見通しを上方修正したバンダイナムコHD<7832>が147円高で年初来高値を更新し値上がり率11位。カジノ関連でもあるコナミ<9766>は正午に営業利益70%減の減益決算を発表し134円安まで落ち込んだが、終値18円高まで戻した。DeNA<2432>は125円安と大幅下落したが、ガンホー<3765>は1400円高で7日ぶり反発。その〃弟分〃のようにみられるコロプラ<3668>の決算は、9月期通期売上高は3.3倍、営業利益は3.8倍で、今期の営業利益見通しを2.1倍の120億円と発表して市場予測を上回って240円高、8.99%上昇。個人投資家の買いを集め売買代金は819億円でトヨタの672億円を上回り東証全体でトップに躍り出た。前日弱かった新興市場は全般的に買い戻しが入り、IT、バイオ関連の主力株は軒並み反発した。

 この日の主役はダイキン。40円高で年初来高値を更新して3日続伸し、売買代金15位に入り日経平均プラス寄与度3位。決算では9月中間期は過去最高益で、通期の営業利益を1400億円、純利益を800億円に上方修正した。中国で大気汚染が深刻化し、冬場も空気清浄機能付きエアコンの需要の伸びが期待され、上海、香港の株安でコマツ<6301>が12円安、日立建機<6305>が46円安だったのとは対照的だった。テロが起きても、所得が頭打ちでも、中国の約7億人の都市住民は呼吸器の健康を損ないたくなければ、エアコンや空気清浄機を買わざるをえない。(編集担当:寺尾淳)