日産自動車は、ゼロエミッション自動車の筆頭として電気自動車(EV)の開発・普及を推し進めている。加えて、持続可能なモビリティ社会のための包括的な取り組みを行なっている。その内容は、リチウムイオンバッテリーの生産・リサイクル、充電インフラの整備、急速充電器の開発など多岐にわたる。さらに、ルノー・日産アライアンスとして、世界各国の政府や自治体、企業などと、既に100件を超えるゼロエミッション・モビリティに関するパートナーシップを締結している。
日産は東京都内で2013年7月から、電気商用車「e-NV200」の市場投入に向けた実証運行を国際エクスプレスのグローバルリーダーDHLの日本法人DHLジャパンと共同で開始。DHLジャパンは約3週間、日産が貸与した「e-NV200」のモニター車を、東京都千代田区丸の内周辺の企業や商業施設などへの荷物の集配に実際に使用し、経済性や環境性能、電気自動車としての実用性を検証したという。
現在まで「e-NV200」はDHL以外にも、ブリティッシュガスや日本郵便株式会社、イオンリテール株式会社、さいたま市など、いくつかの大手企業や自治体との実証運行を重ねてきた。
結果、11月14日に日産は「e-NV200」を2014年度中に日本市場に投入すると正式に発表した。2014年半ばからスペインのバルセロナ工場で生産をスタートし、世界各国での販売を予定している。同モデルは、「日産リーフ」に続き、同社がグローバルで販売する2車種目のEVとなる。ガソリン仕様のコマーシャルバンと同等の多用途性、実用性を備え、走行時のCO2の排出量がゼロという特長を併せ持つ「e-NV200」は、屋外行事や緊急時電源として活用可能な荷室のAC電源供給機能、先進的なテレマティクス・システムなどがビジネスシーンにおける可能性を広げる。
日産では「e-NV200」について、その特徴を活かした効果的な活用法のモデルケースを探るため、同社の地元である横浜市と共にその具体策を検討。すでに、同市での公用車としての活用や、横浜市民全体を対象とした車両モニター制度の設置などが候補に挙がっている。日産と横浜市は従来から低炭素都市を目指した次世代交通の実現に向けた取り組み「ヨコハマ・モビリティ “プロジェクト ゼロ”」を進めてきた。これまでに、「日産リーフ」および超小型電気自動車「日産ニューモビリティコンセプト」を活用した施策を実施。今後、同市が新たに「e-NV200」活用モデルを検討することで、「e-NV200」の公的利用が広がっていくことが期待できる。
なお、横浜市とスマートシティの構築・発展に関して相互協力関係にあるスペイン・バルセロナ市では「e-NV200」を活用した施策がすでに具体化し、同モデルがバルセロナ市のタクシーとして活用されている。また、その活用を後押しすべく、急速充電器網やEVタクシー専用停車場を整備していくことなどが検討・計画されている。
なお、今月23日より一般公開される東京モーターショー2013の日産ブースで、環境未来都市を標榜する横浜市のマークを配した「e-NV200」が参考出品される。(編集担当:吉田恒)