トヨタはTMECを中心にハイブリッドユニットや電池の中国・国産化に向けて準備を進めている。計画では、2015年頃を目処に中国産ハイブリッドユニットを搭載したモデルを生産・販売する。写真は日本製プリウス(左)とアクア(右)のハイブリッドユニットと電池。
中国の2012年輸入車販売実績をみるとゼネラルモーターズ(GM)271.5万台、フォルクスワーゲン(VW)260.9万台、日産118.2万台、トヨタ84.1万台、ホンダ59.9万台と続く。GMとVWの実績が際立ち、日本勢の出遅れが目立っている。
こうした中、トヨタ自動車は2012年5月、長春の新工場を10万台態勢で稼働させて、2015年には160万台の販売を目指している。2010年には、中国・江蘇省常熟市東南経済開発区(現在の常熟高新技術産業開発区)にトヨタ自動車研究開発センター中国(TMEC)を開設。環境対応車の中国国産化や、プラグインハイブリッド車(PHV)や電気自動車(EV)導入に向けて動き出していた。
そのトヨタ自動車研究開発センター中国(TMEC)が全面的に完成。同地において、11月14日に現地で完成披露式を行なった。式典には、来賓として省政府、市政府、木寺昌人在中国日本国特命全権大使、中国第一汽車集団公司、広州汽車集団股份有限公司の合弁パートナーの代表者が出席、トヨタからは加藤光久副社長、伊原保守副社長が出席した。
式典において、加藤副社長は「トヨタが中国のお客様にご満足いただけるクルマを提供し続けるために、妥協を許さずクルマを徹底的に鍛えぬく」と述べ、「TMECは予定どおりに、2013年中にスタートができた。今後は、TMECの使命であるハイブリッドユニットの中国・国産化をメインとした環境技術の現地化推進と推し進めることになる」とも語った。
トヨタは現在、TMECが中心になってハイブリッドユニットの中国・国産化に向けて準備を進めている。今回の式典でも電池製造会社を設立したことやインバーター、トランスアクスルの主要コンポーネントも現地調達することを発表した。また、計画では、2015年頃を目処に中国産ハイブリッドユニットを搭載したモデルを一汽集団との合弁会社(一汽トヨタ)、広汽集団との合弁会社(広汽トヨタ)でそれぞれ生産・販売していくという。
TMECには、テストコースをはじめとした評価路などの施設、合弁パートナー、サプライヤー、他メーカーなど広く外部と環境技術に関する交流を図る「省エネルギー・新エネルギー車技術センター」といった主要施設がすべて完成した。将来にわたってTMECは、中国における「最先端要素技術」の開発拠点として、中国における自動車環境技術の普及を目指す。
同時に、トヨタは、常熟新中源創業投資有限公司、プライムアースEVエナジー株式会社、トヨタ自動車(中国)投資有限公司と4社共同出資によるハイブリッド用電池製造会社「新中源トヨタエナジーシステム有限会社」を江蘇省常熟市に設立した。新会社では、TMECが開発、2015年ころに発売する車両への搭載を予定しているハイブリッドユニットの主要コンポーネントである、電池の組み立てを行う。同社は今後、電池の組み立てに関する施設の建設、設備の導入を行い、予定では2015年中に稼動開始するという。(編集担当:吉田恒)