NYダウは14ドル高で4日続けて史上最高値更新。アジア、ヨーロッパの株高を受けて午前中に16000ドルの大台を突破したが、終盤は有名投資家のアイ・カーン氏が高値警戒感を口にしてマイナスになる局面もあり終値は15976ドル。次世代大型旅客機の受注が好調と発表したボーイング株が上昇。ソニー<6758>の「PS4」の人気ぶりに影響されて今週、新型ゲーム機「Xbox One」を発売するマイクロソフト株は下落した。ソニーのADR価格は上昇。19日朝方の為替レートは、ドル円は99円台後半、ユーロ円は134円後半で、前日よりも円高に振れていた。
日経平均は67.67円安の15096.63円と安く始まる。午前9時台は15080~15150円の小動きで推移するが、10時台になるとアップダウンが激しくなり、15120円近辺まで上昇したかと思うとドル円99円50銭台まで円高が進行するにつれて大台割れ寸前の15020円まで下げる。振幅はTOPIXよりも大きい。15050円近辺まで戻して後場もその水準で始まるが、午後1時すぎに15130円近辺まで上昇した後で50円下げるなど落ち着かない。2時台は15100円台を回復し、ドル円が100円に接近して前日同様に大引け15分前から猛チャージ。1.24円安まで上昇するがプラスには浮上できず終値は37.74円安の15126.56円だった。円安一服で日経平均が軟調でも15000円の大台は割らず、挑戦を何度もはね返した15000円も、いったん突き抜ければ今度は下値のサポートラインとして機能してくれるようだ。TOPIXは-4.81の1236.86。売買高は22億株、売買代金は1兆9424億円で、6日ぶりの2兆円割れだった。
値上がり銘柄は591で、値下がり銘柄は1009と多い。値上がりセクターは8業種で水産・農林、繊維、精密機器、石油・石炭、鉄鋼、海運など。値下がりセクターは25業種で銀行、その他金融、陸運、パルプ・紙、不動産、機械などだった。
日経平均採用225種はプラス69銘柄、マイナス137銘柄。プラス寄与度1、2位はファーストリテイリング<9983>とファナック<6954>で合計+18円。マイナス寄与度1、2位は200円安で値下がり率16位の東京エレクトロン<8035>と50円安のソフトバンク<9984>で、合計-13円だった。
銀行が業種別騰落率最下位になるなど金融関連は1回休み。メガバンクは全てマイナスで証券もノンバンクもおおむね下落。自動車はトヨタ<7203>50円安、ホンダ<7267>45円安、富士重工<7270>12円安など円安一服で株価が逆回転したが、21円高の日野自動車<7205>の健闘が光っていた。
「PS4の2月の国内発売まで待てない」と期待のブーイングを浴びるソニーは東京市場でも24円高と買われたが、「住宅と自動車」への集中と選択を進めるパナソニック<6752>は、従来の半額以下の90万円の家庭用蓄電池の発表したが7円安だった。シャープ<6753>は5円安、東芝<6502>は1円安。コニカミノルタ<4902>はシティグループ証券が投資判断を引き上げ23円高。鉄鋼の新日鐵住金<5401>は売買高5位、4円高と堅調。コマツ<6301>はドイツ証券が投資判断を引き下げて55円安と売られた。
ビッグデータ関連のブレインパッド<3655>はヤフー<4689>と提携、合弁会社設立という材料がありストップ高の246円高で値上がり率トップ。ヤフーは6円高。KLab <3656>は89円高で値上がり率2位に入った。KDDI<9433>は傘下のJCOM、JCNのCATV2社を来春合併させると報じられ20円高。元総合商社で三菱東京UFJ銀行の支援で再建中の兼松<8020>は6円高。前週にあおぞら銀行<8304>と海外進出支援に関する業務提携を発表し、短期資金が買い向かって売買高15位、値上がり率19位だった。
金融株の買いが一服しドル円の100円割れで輸出関連株も手を出しづらく、4円高の熊谷組<1861>、1円高の三井住友建設<1821>が売買高の2位、3位に顔を揃えるなど低位建設株が物色された。3Dプリンター関連の群栄化学<4229>も22円高で値上がり率12位に入り、久しぶりにランキングに顔を見せる。ドワンゴ<3715>はこの日も売買高8位、売買代金1位と売買は活発だったが後場に利益確定売りが入り80円安だった。
後場、安倍首相が山本一太IT政策担当大臣に「薬のネット販売の規制緩和を急ぐように」と指示したと伝わり、マザーズのケンコーコム<3325>は一気に上昇し235円高。ミドリムシのユーグレナ<2931>は前日、公募増資とオーナー社長が保有する株の売出しによる最大74億円の資金調達計画を発表し、希薄化懸念で60円安と4日ぶりに反落した。6000円安で値下がり率2位になった除染関連のJBR<2453>は43億円分の株の売出しを発表していた。安定株主からの株の売出しは浮動株数を増やすので、希薄化は起きなくても需給悪化懸念はある。
ANAP<3189>(アナップ)が東証ジャスダックに新規上場。東京が本社のレディースカジュアルファッションの輸入・販売業で関東中心に93店舗を展開する。公開価格は1000円だがこの日は2300円買い気配で終了し初値はつかなかった。
この日の主役は逆行高して95円高4日続伸のオリンパス<7733>。前日、粉飾決算問題による株価急落でテルモ<4543>から起こされた損害賠償訴訟は60億円で和解が成立と発表。日経新聞朝刊で「内視鏡の生産能力を2016年初めまでに3割程度増強する方針」と笹宏行社長が話したことも材料視された。福島県、青森県の3工場の新工場棟に合計200億円を投資し、新興国市場を開拓して年23%以上の成長を目指す。不振のデジカメ部門もソニーと部品の共同購入、商品配送の共同化を検討中で、コスト削減をさらに進め2015年3月期の黒字化を実現したいという。記事によればソニーとの資本提携や7月の増資で財務体質の改善、不採算事業の整理・改善に一定のメドが立ち、笹社長は「不祥事による負の遺産処理から新たな段階に入った」と語った。あとは海外での損害賠償訴訟に区切りがつけば、三菱自動車<7211>と同様に世界戦略に期待ができる銘柄だ。(編集担当:寺尾淳)