NYダウは54ドル高。午前はシスコシステムズやウォルマートの決算が思わしくなくマイナスの時間帯もあったが尻上がりに上昇。イエレン次期FRB議長の上院公聴会は事前公表のシナリオ通りで質疑でボロを出すこともなく終了し、ダウは史上最高値更新の〃宇宙旅行〃継続。前日のロンドン時間にドル円が2ヵ月ぶりに100円台にタッチし、15日朝方の為替レートはドル円は100円台前半、ユーロ円は134円台後半になり、どちらも前日より1円近くの円安になっていた。
CME先物清算値は15000円を突破し、日経平均は157.92円高の15034.33円と、この半年間、何度アタックしてもはね返された5月24日以来のザラ場中15000円台をあっさりクリアして始まる。午前9時24分に一度は15000円を割り込むが、10時台には上海、香港市場の続伸も後押しして15100円にタッチし、前場は15100円台に定着して終了。後場もドル円は100円台でゆるやかに円高が進行したにもかかわらず、「利益確定売りの金曜日」はどこかに行ってしまったかのような堅調ぶりで、午後2時44分には15200円台にもタッチして15203円の高値をつける。終値は289.51円高の15165.92円で、5月23日の大暴落前日の22日以来の終値15000円オーバー。4勝1敗、前週末から1079.12円も大幅上昇して今週の取引を終えた。TOPIXは+20.49の1239.04で、この日の上昇率は日経平均と0.27ポイントしか差がなかった。売買高は32億株。売買代金は2兆8833億円で7月19日以来の高水準になった。
値上がり銘柄は1375で東証1部全体の約78%を占め、値下がり銘柄は294。業種別騰落率は空運だけがマイナスで、値上がり上位は証券、保険、倉庫、その他金融、海運、ゴムなど。値上がり下位はサービス、建設、繊維、電気・ガス、輸送用機器などだった。
日経平均採用225種は210銘柄が上昇し、下落は12銘柄だけ。プラス寄与度1~4位はこの日も京セラ<6971>と「御三家」で、1350円高のファーストリテイリング<9983>の寄与度は+52円と突出していた。マイナス寄与度1位は-2円の電通<4324>だったが、今週12日に決算を好感して大幅高になっていたので単なる利益確定売り。
メガバンクは全てプラス。みずほ<8411>は前日、通期の純利益見通しを5000億円から6000億円に上方修正し4円高。増配も噂になっている。三菱UFJ<8306>も通期純利益見通しを7600億円から9100億円に上方修正し13円高。三井住友FG<8316>は前日引け際に利益確定売りにやられて下落した分を「倍返し」するかのように2.94%上昇の145円高で年初来高値を連日更新した。
自動車各社にとってドル円100円台は想定レートを3円以上も上回り、トヨタ<7203>60円高、ホンダ<7267>35円高など全面高。電機ではモルガン・スタンレー証券がレーティングを引き上げたソニー<6758>が60円高になった他、日立<6501>が4円高、東芝<6502>が7円高、シャープ<6753>が6円高。パナソニック<6752>は引け際に急伸し29円高で年初来高値を更新した。鉄鋼も円安を好感して新日鐵住金<5401>10円高、JFEHD<5411>50円高、神戸製鋼<5406>3円高と上昇をみせていた。
第一生命<8750>は9月中間期決算で純利益71%増、通期純利益予想を370億円から570億円に上方修正し95円高で年初来高値更新。JPモルガン証券が目標株価を引き上げ、同じく好決算で55円高のT&DHD<8795>とともに保険セクターを業種別騰落率2位に押し上げた。一方、空運セクターを唯一のマイナスにした犯人は130円安のJAL<9201>。金融緩和期待で、日経平均プラス寄与度5位の住友不動産<8830>の160円高を筆頭に大手不動産株は軒並み上昇し、ケネディクス<4321>は32円高で売買高4位、売買代金8位。三菱倉庫<9301>が86円高になるなど倉庫株も買われていた。
値上がり率1位のドワンゴ<3715>は400円高でストップ高比例配分。前日の9月期決算が営業利益58%増で通期見通しも46%増益。「ニコニコ動画」への広告導入を経営陣が明らかにし収入増が見込まれ、UBS証券はレーティングを引き上げ、さらにこの日は任天堂<7974>が発行済株式の1.5%を取得したと発表するなど買い材料が重なった。任天堂も640円高と買われていた。ストップ高の78円高で値上がり率2位のネクシーズ<4346>は大引け後の決算発表を先回りして買いを集めた。一方、値下がり率1位のファンケル<4921>は前日の9月中間期決算が営業利益15.6%減益、通期見通しが営業利益71.5%減で最終損益が赤字では84円安の売り浴びせもやむを得なかった。
この日の主役は業種別騰落率トップの証券株。最大手の野村HD<8604>は36円高で売買代金1位、売買高2位と買いが集中。支援先の足利HD<7167>の上場が承認されたこともプラス材料だった。大和証券G<8601>も40円高で一時は5月22日以来の株価1000円台に乗せて売買代金9位、売買高11位だった。値上がり率ランキングでは5位に11円高の日本アジア投資<8518>、6位に67 円高の日本証券金融<8511>、7位に34 円高のマネックスG<8698>、10位に112 円高の岩井コスモHD<8707>、13位に22円高の光世証券<8617>、14位に102円高で売買代金でも16位に入ったSBIHD<8473>、20位に181円高で年初来高値のJPX<8697>がランクインしてにぎわった。過去の例でも、平均株価が大きく上昇する時には証券株が買いを集めている。もっとも、売買代金が増えなければ証券会社の売買仲介手数料収入は増加しない。(編集担当:寺尾淳)