【日経平均】500円を超えた連騰の後は21円安で充電か

2013年11月13日 20:43

 NYダウは32ドル安で3日ぶり反落。ハト派のアトランタ連銀のロックハート総裁が「12月の縮小開始の可能性は残る」と指摘して株価が下落し金利は上昇したが、ミネアポリス連銀のコチャラコタ総裁が早期縮小は経済の足かせになりかねないと懸念し、アメリカの景気に対する楽観的な見通しも根強く大幅な下げにならなかった。13日朝方の為替レートは、ドル円は99円台後半、ユーロ円は133円台後半で、円安が進み一時は99円80銭、134円に接近していた。

 日経平均は60.71円安の14527.97円で始まるが、すぐに下げ幅を圧縮しTOPIXはプラスに浮上。9時40分頃から日経平均もプラスになり14600円まであと47銭に迫る。しかし10時をすぎると異変勃発。ピークから39分間で109円下落し14490円まで下げた。円高も進行していたが、需給が悪いので2日で501円も上昇すればこんな事態も覚悟。それでも日経平均14500円、TOPIX1200はしっかり上回り、11時前から急回復して前引けではTOPIXはプラスに戻っていた。

 後場は日経平均もTOPIXもマイナスで始まるが、日経平均は14510~14560円の50円幅の小動きが続く。アジア市場の軟調とバーナンキFRB議長の講演待ち、イエレン次期FRB議長の上院公聴会待ちで商いは低調。終盤に上放れしプラスで終了かと思わせたが、終値は21.52円安の14567.16円で3日ぶりに反落した。TOPIXも-1.22の1204.19と小幅安。売買高は26億株、売買代金は2兆10億円で2兆円の大台になんとか滑り込んだ。

 値上がり銘柄は685、値下がり銘柄は931だったが、業種別騰落率は18対15でプラスが優勢。プラス業種上位はガラス・土石、その他金融、銀行、鉱業、石油・石炭、その他製造など。マイナス業種下位は海運、建設、保険、情報・通信、陸運、食料品などだった。

 日経平均採用銘柄はプラス106対マイナス109でほぼ拮抗。プラス寄与度1、2位はファーストリテイリング<9983>とファナック<6954>、マイナス寄与度1、2位はKDDI<9433>とソフトバンク<9984>という「御三家プラス1」の綱引きで、その勝負も+16.88対-17.66でほぼイーブンだった。

「衝突回避システム」が作動せず試乗車がフェンスに衝突して2人が負傷した事故が明るみに出たマツダ<7261>だが、カー・オブ・ザ・イヤーに「アテンザ」が選ばれたご祝儀もあり13円高。ホンダ<7267>は20円高、トヨタ<7203>は40円安だった。

 ソニー<6758>は、平井一夫社長が前日の上海での記者会見で2014年度は中国など新興国市場の売上高を2011年度の40%増にすると打ち上げて46円高。富士通<6702>はアメリカのポラリス社の株を売却し471億円の売却益を得るというニュースが入り4円高。最終損益を黒字化したければ資産売却は避けて通れない。決算がサプライズだったのがパイオニア<6773>で、9月中間期の営業利益は損益トントンの予測を良い方に裏切って約5億円。100円台の低位株でもあり売買高2位、売買代金11位と買いに火がつき、36円高で終値は202円まで上昇し値上がり率2位。その筆頭株主のシャープ<6753>も2円高だった。パイオニアを上回って値上がり率トップになったのが日成ビルド工業<1916>で、59円高で年初来高値を更新し売買高も12位。東日本大震災直後に仮設住宅建設需要を見込まれ急騰した銘柄だが、フィリピンの深刻な台風被害でその連想が働いた。しかし現地はまだそんな状況ではない。

 値上がり率5位のラウンドワン<4680>はいちよし経研が目標株価を引き上げ一時ストップ高の100円高で3日続伸。43円高で値上がり率8位のセイコーHD<8050>は通期営業利益見通しを2.4倍の130億円に上方修正し買いが集まった。JPX<8697>は96円高で年初来高値を更新していた。

 9月の機械受注は前月比-2.1%で市場予測より低かったが、前日に発表された10月の工作機械受注は18ヵ月ぶりのプラス。工作機械メーカーの株価はおおむね堅調で、ツガミ<6101>は44円高で値上がり率9位。ファナックは80円高、オークマ<6103>は31円高、牧野フライス<6135>は野村證券が投資判断を引き上げたこともあり33円高で年初来高値を更新した。しかし自動車用工作機械のエンシュウ<6218>は決算が営業減益で、23円安で値下がり率1位だった。

 日銀が発表した10月の国内企業物価指数は+2.5%。7ヵ月連続上昇で伸び率は過去1年で最大だった。鉄スクラップ価格上昇というニュースもあったが、資材費が高騰して9月中間期の営業利益が抑えられたゼネコン各社は大成建設<1801>15円安、大林組<1802>26円安、鹿島<1812>17円安。前田建設工業<1824>も55円安で値下がり率5位とおおむね軟調だった。一方、建設資材を供給する側の太平洋セメント<5233>は通期の純利益見通しを85%増益の210億円に上方修正し、配当見通しも上積みして20円高。売買高8位、売買代金12位と買われた。価格交渉で強気に出ていることが決算からもわかる。建設業界は人件費の高騰も深刻で、人手不足が深刻な技術者は型枠工、鉄筋工が特に不足しているという。

 エンジニアリングの日揮<1963>はカンボジアの首都プノンペンで病院を建設し運営も行うというニュースが伝わった。国内で250カ所以上の病院を手がけた実績があり、日本政府も現地で喜ばれる社会インフラ輸出として後押しするが35円安。同業の東洋エンジニアリング<6330>は昼休み中に決算を発表し、通期の営業利益見通しを100億円から20億円に下方修正し配当予想も減額したため33円安で年初来安値を更新し、値下がり率4位になっていた。

 この日の主役は今週の株価上昇を引っ張っているメガバンク。売買代金ランキングでは三井住友FG<8316>が1位、三菱UFJ<8306>が2位のワンツー・フィニッシュでみずほ<8411>は6位入賞。三井住友FGは前日に決算発表を行い、通期の経常利益、純利益見通しを上方修正し期末配当の10円増配見込みも発表して80円高だった。りそなHD<8308>は中間期の純利益は30.5%減だったが通期の経常利益を500億円上方修正して4円高。ともに保有株式の売却益が利益を押し上げた。三井住友FGに刺激され決算発表を14日に控えた三菱UFJは9円高、みずほ<8411>は2円高になった。メガバンク3行はソフトバンクに追い越されても時価総額が巨大な日本株の代表銘柄なので、株価が上昇すると相場全体が明るくなる。(編集担当:寺尾淳)