【日経平均】15000円にあと34円まで肉薄して309円高

2013年11月14日 20:42

 NYダウは70ドル高で再び史上最高値更新。主役は大手デパートのメーシーズで、決算が市場予測を大きく上回り株価も10%近い上昇。旺盛な個人消費を裏付けて23日の感謝祭明けのクリスマス商戦への期待が高まり、JCペニーやホーム・デポやナイキも連れ高した。14日朝方の為替レートはドル円は99円台前半、ユーロ円は133円台後半で、前日比でドル円が少し円高に振れていた。

 取引時間前に発表された7~9月期の国内総生産(GDP)成長率速報値は年率換算で市場予測の+1.6%を上回る+1.9%だったが、4~6月期の3.8%からは半減。それでも日経平均は98.59円高の14665.75円で始まり、すぐ14700円を突破する。高く始まった要因は14日のイエレン次期FRB議長の上院公聴会での証言草稿が事前にFRBから公表されたことで、「失業率が高すぎる」「雇用回復の道のりはまだ遠い」と量的緩和の縮小を急がないハト派的姿勢が明らかになってマーケットに安心感がひろがり「イエレン公聴会待ち」は消滅。バーナンキFRB議長の講演内容は経済見通しや金融政策に言及がなく、待つまでもない中身だった。

 10月23日以来の14700円台を回復した日経平均は前場、一進一退しながら値を切り上げ、上海、香港市場も上昇し足を引っ張らなかった。日経平均先物が主導する相場が極まって、後場が始まるやいなや14800円台を飛び越えていきなりの14900円タッチ。こんなに大きくマドを開けると後が怖いが、アッと言う間に14950円を突破し「出会い頭の交通事故的15000円タッチもあるか」と兜町に〃戦慄〃が走る。麻生太郎財務大臣が国会答弁で「為替介入の手段も必要」と発言したのが材料で、ドル円は25銭、ユーロ円は30銭ほど一気に円安に振れた。しかし5月24日以来の14966円をピークに上昇の勢いはストップし、午後1時すぎには14900円を割り込んで昼下がりの急騰劇は終了した。

 その後は14900円台での小動きで推移する。2時30分すぎから利益確定売りが入って下落するが終値は309.25円高の14876.41円と、前日の〃充電〃が効いたか大幅反発した。日中値幅は301円もあった。TOPIXは+14.36の1218.55。上昇率は日経平均の2.12%に対してTOPIXは1.19%と大幅に低く、先物に引っ張られた日経平均の上昇がTOPIXを置き去りにした観があった。売買高は30億株で10月31日以来の30億株台。売買代金は2兆5216億円と盛り上がった。

 値上がり銘柄が1338で全体の76.1%を占める全面高。しかし業種別騰落率では鉱業セクターが唯一マイナスになる。プラス上位は証券、不動産、海運、倉庫、小売、空運など。プラス下位は医薬品、水産・農林、繊維、ガラス・土石、卸売などだった。

 日経平均採用225種は203銘柄が上昇し、下落は13銘柄のみ。プラス寄与度上位は売買代金ランキングの1位、6位、10位に入った「御三家」にKDDI<9433>、京セラ<6971>とおなじみの顔ぶれが勢揃い。その5銘柄の寄与度合計は+130円で上昇幅の42%を占めた。KDDIはAT&Tと組み全米でLTE方式を展開するというニュースがあり、みずほ証券が目標株価を引き上げて310円の大幅高。マイナス寄与度1~3位は三井住友トラストHD<8309>、太平洋セメント<5233>、パイオニア<6773>だったが、全て5円安でマイナス寄与度はわずか-0.20だった。

 メガバンクは、5月13日の年初来高値を更新して3年1ヵ月ぶりに株価が一時5000円を突破した三井住友FG<8316>が大引け間際に利益確定売りの標的になり10円安になったものの、大引け後の決算発表を前に日経新聞がともに通期純利益増益という業績観測記事を報じた三菱UFJ<8306>は10円高、みずほ<8411>は2円高。みずほの売買高は2億2000万株でトップになる。イエレン証言を見てFRBに合わせた日銀の追加緩和も期待され、金融緩和でメリットが出る銀行、その他金融、証券、不動産や倉庫のような含み資産株に買いが集まった。野村HD<8604>は19円高で売買高2位、売買代金4位。大和証券G<8601>は26円高。不動産証券化のケネディクス<4321>は36円高で値上がり率17位に入り、売買高5位、売買代金12位と盛んに買いを集めていた。

 自動車は前場は軟調だったが、後場プラスになりトヨタ<7203>30円高、ホンダ<7267>35円高。マツダ<7261>1円高、日産<7201>10円高。電機もソニー<6758>、パナソニック<6752>がともに40円高で、シャープ<6753>も2円高だった。

 電力の地域独占の解消、小売参入の自由化、発送電分離を盛り込んだ改正電気事業法が国会で成立。電力政策の60年ぶりの大転換で16兆円市場での価格競争、サービス競争を促す。東京電力<9501>が15円高など電力株は揃って上昇した。10億円以下の低価格小型衛星を開発するというニュースがあったIHI<7013>は5円高。国産ロケット「イプシロン」で打ち上げ、民間企業や新興国での利用を見込む。荏原<6361>は18円高で5月の年初来高値を更新した。

 10月1日に住金物産と日鉄商事が合併して誕生した日鉄住金物産<9810>はストップ高の80円高で値上がり率1位。営業利益は9月中間期は13%増で、通期見通しは105億円を207億円に大幅上方修正した。新日鐵住金<5401>は6円高。日立<6501>が日立メディコ<6910>に対し買付金額1800円でTOBをかけると発表。日立メディコは急騰し300円高のストップ高比例配分で値上がり率2位になった。日立は9円高だった。

 グリー<3632>は7~9月期決算の純利益が73%減。課金収入が減少した上にリストラによる特別損失を51億円計上した。落ち込みぶりは4~6月期よりましだったが20円安。ミズノ<8022>は通期見通しの下方修正を嫌気されて18円安だった。

 この日の主役は医薬品。全面高ゆえに下落ぶりが目立ったのが沢井製薬<4555>、東和薬品<4553>、日医工<4541>などジェネリック医薬品関連銘柄。沢井製薬は560円安で値下がり率9位、東和薬品は185円安で同17位、日医工は58円安。前日、厚生労働省は後発医薬品の公定価格を見直し薬価を新薬の7割から5割に引き下げる案を示した。利用拡大策だが収益悪化が懸念されて株価は下落した。統合失調症薬が好調で今期は最高益更新かと報じられた大塚HD<4578>も31円安だったが、大手の武田<4502>は10円高。アステラス製薬<4503>は90円高で5月の年初来高値を更新していた。(編集担当:寺尾淳)