20日に財務省が発表した「10月貿易統計速報」によれば、貿易収支(原数値)は1兆907億円の赤字となったことが分かった。これで赤字は16ヶ月連続となる。赤字幅は10月としては過去最大のものとなり、比較が可能な1979年以降では、3番目となる大赤字となった。円安により、原油や液化天然ガス(LNG)などのエネルギー資源を中心に、輸入が膨らむ結果となった。過去最大の赤字額は、2013年1月の1兆6335億円。
輸出は金額、数量ベース共に増加したものの、輸入が原粗油の反動増により大きく増加し、貿易赤字が1兆円の大台に膨らむ結果となった。輸入に関しても、10月では過去最大の赤字。やはり原粗油の反動増が影響したとみられる。
輸出は前年比で18.6%アップの6兆1045億円で、8ヶ月連続での増加となった。増加の要因となったのは、好調なアメリカ向け自動車などによるもので、これは10年7月(前年比23.5%)以来の大幅伸び率となった。また、数量ベースでも前年比4.4%アップとなり、2ヶ月ぶりに増加となった。品目別では、自動車(31.3%アップ)、鉱物性燃料(80.8%アップ)、有機化合物(38.3%アップ)などが増加。
地域別にみると、7ヶ月連続の増加となった中国向けが、前年比で21.3%のアップ。自動車が348.4%と大きく増加したほか、有機化合物(56.8%)、自動車部分品(54.7%)などでも増加がみられた。
アメリカ向けも10ヶ月連続の増加で、前年比で26.4%アップ。欧州連合(EU)向けも5ヶ月連続の増加で、前年比27.0%アップ。
為替レート(税関長公示レート平均)は1ドル98.26円で、対前年比で25.5%の円安だった。
輸入は12ヶ月連続の増加となり、前年比26.1%アップの7兆1952億円。特殊要因により、10年6月(前年比26.5%アップ)以来の大幅な伸びを示した。増加品目は、原粗油(67.8%アップ)、液化天然ガス(39.4%アップ)、半導体等電子部品(50.8%アップ)など。
輸入原油単価は前年比23.2%アップの7万130円/キロリットルで、ドルベースでは前年比1.8%ダウンの113.5ドル/バレルだった。(編集担当:滝川幸平)