広島高裁岡山支部は28日、一票の格差が最大4.77倍になった今夏の参議院選挙について「違憲」「無効」とした。違憲判決は全国初。片野悟好裁判長は「投票価値の不平等は甚だ顕著。国会には選挙制度を抜本的に改革する責務があった」と厳しく国会責任を取り上げた。
菅義偉官房長官は判決を受けて「選挙を無効とされたことを承知している。極めて厳しい判決と受け止めている」と語った。
そのうえで菅官房長官は「7月の参議院選挙にかかわる訴訟については今後も各高裁で判決が言い渡されることになっているので、その内容を注視していきたい」とした。
この裁判は一票の格差が3倍を超える選挙区が17選挙区(うち4倍を超える選挙区6)出た今回の参議院選挙で、弁護士グループらが法の下の平等に反するとして選挙無効を訴えたもの。片野裁判長は参院の定数配分規定について「違憲の問題が生じる程度にまで著しい不平等状態に至っている」とし、2007年の選挙をめぐる最高裁判決後も「4増4減」程度の是正にとどまり「国会が選挙制度改革に真摯に取り組んだか疑問」とした。
そのうえで今回の選挙を無効としても前回(2010年)の選挙での議員や比例代表選出での議員により参議院の活動は可能との判断に立ち、今夏に選挙について即時無効とした。今後、判決確定までは無効にはならないが、国会の対応を強く迫る判決になった。(編集担当:森高龍二)