4日、日本たばこ産業(JT)<2914>は、ロシア国内で物流事業を手掛けるメガポリスの持ち株会社の株式20%を、8億5000万ドル(約850億円)で取得することを発表した。ロシアはJTにとって海外で最大の市場であり、ロシアでのシェアは約36%とトップ。メガポリスとは2007年から協力関係にある。JTとしては今回の株式取得により販路を拡大することで、事業拡大を図る狙いがあるようだ。
31日までにメガポリスの持ち株会社、「メガポリス・ディストリビューション(MD)」の株式を親会社から取得する予定。また世界最大のたばこメーカーである米フィリップ・モリス・インターナショナル(PMI)もJTと同時に「メガポリス・ディストリビューション」の株式20%を取得する。出資比率は「メガポリス・ディストリビューション」の親会社が60%、JTと米フィリップ・モリス・インターナショナルが20%ずつで並ぶ。
JTは07年から、ロシアにおいて紙巻きたばこの流通の約7割を扱うメガポリスに、物流を委託していた。JTのロシア市場におけるシェアは9月の時点で約36%とトップ。こうしてJTが海外の市場にてシェアトップに立てている国や地域はロシアや台湾などに限られており、JTにとって非常に重要性の高い地域であると言える。そして今回の出資にともない、JTは役員を派遣する予定。こうして人的な面での結びつきを深めることで、重要地域における販路拡大を推し進める。
今回の出資額である850億円には、これからの4年間におけるメガポリスの施策の進捗状況に応じて、100億円を上限として金額の変動の可能性が含まれているが、払い込みは850億円で実施される。今回の出資金は、手元資金と既存借入枠内での借入によりまかなわれる予定だ。「メガポリス・ディストリビューション」はJTの持ち分法適用会社になる。
また、JTと同時に株式取得を行う米フィリップ・モリス・インターナショナルは、ロシア政府が最近反たばこ政策を強化していることを挙げ、これからはロシアでの販売量は減少傾向が予想される見通しを示し、今回のこの株式取得合意は、ロシアでの事業拡大の一助になるとの考えを示した。(編集担当:滝川幸平)