30日、JT<2914>はタバコ製造工場、タバコ原材料製造工場それぞれ2ヶ所ずつ、合計4ヶ所の工場の廃止を盛り込んだ、国内タバコ事業の競争力強化策を発表。それに伴い、国内タバコ事業を中心に単体の従業員の約2割にあたる1600人の人員削減も実施。下降傾向にある国内タバコ事業の競争力を強化すると共に、海外タバコや医薬、食品などに経営の資源を注力する模様だ。
JTの佐伯明副社長は会見の席で、国内のタバコ市場が下降傾向にある最中、「問題を先送りするのではなく、素早く対応することが最善」と自身の判断を説明し、今回の競争力強化策の発表に至った経緯を語った。
また、2015年の3月末には、福島、浜松、岡山印刷の3つの工場も廃止する予定で、16年3月末には平塚工場も閉鎖となる予定。
そして15年3月末には、タバコ自動販売機の開発・製造・販売などを行う特機事業部も廃止とし、これによりJTはこれらの事業から撤退することとなる。08年に成人識別タバコ自動販売機用のICカード「タスポ」が導入されて以降、タバコの自動販売機の数は激減していた。
今回の事業縮小計画に伴い、人員も単体の従業員約8900人のうち、その約2割にあたる1600人を削減。退職の時期は原則15年3月末とし、そのコスト削減効果は15年4月以降のこととなる。労働組合との協議はこれから行われる模様で、コスト削減によって発生する見込み金額などはまだ明らかにされていない。
民営化されて以来、国内にJTの工場は35ヶ所あったが、タバコ市場の下降に伴い、それらは順次閉鎖が進められて来た。その一方で、海外の事業に関しては、1999年に米RJRナビスコの米国外のタバコ事業、07年には英ギャラハーを買収するなどのM&A(合併・買収)を推進することにより、事業を拡大させて来た。これからの事業の進み行きに関して佐伯副社長は、「成長が期待出来る分野への事業投資を優先させたい。タバコ事業、特に海外のタバコ事業などがそうだ。また、新しいカテゴリーのタバコ製品の開発、販売などにも力を入れて行きたい」とその展望を語った。
昨今の禁煙ブームの影響を受け、国内のタバコ市場は著しい下降傾向が続いている。12年度の販売本数は1951億本で、ピーク時である96年度の3483億本の44%減と、大きくその数を減らしている。(編集担当:滝川幸平)