ウェアラブル端末の未来はどうなるのか

2013年12月14日 16:42

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ポスト・スマートフォンの呼び声が高い、ウェアラブル端末。市場への期待とともに、日本の半導体企業の洗練された微細化技術への注目が高まっている(写真はローム社製スマートウォッチのデモ機)

 次世代のデジタル・ギアとして「ウェアラブル端末」が急速に注目されはじめている。スマートフォンが今なおシェアを拡大し続ける中、早くもポストスマートフォンの筆頭格として、各社が開発に力を入れている端末がウェアラブル端末だ。

 すでに、ソニー<6758>やモトローラ、ナイキなど多様なメーカーから、腕時計型のウェアラブル端末「スマートウォッチ」が発売されている。これらは、時計機能はもとより、スマートフォンとワイヤレスで連携することで、着信やメール着信、SNSなどのアプリ操作を実行したり、機種によっては音楽再生やヘルスケアに活用できたりするものもあり、ウェアラブルを身近に体現できるものとして注目されている。中でも、とくに高い注目を集めているのが、米Google社が発売を予定している「Google Glass」と、米Apple社が近日発表すると噂されている「iWatch」。だ。「Google Glass」の方は、すでに試用販売が開始され、正規の販売までも秒読みといったところだが、「iWatch」の方は、デザインや仕様に関して世界中で様々な憶測が飛び交うものの、未だに全容がはっきりとしていない。

 先般、野村総合研究所<4307>が発表した国内のICT市場規模予測によると、2013年から2018年の期間における、日本国内でのタブレットや電子書籍の成長率は12.2パーセントとなっているのに対し、ウェアラブル端末はなんと83.2パーセントとなっており、期待値が非常に大きいことが分かる。

 一般的な腕時計は2012年に12億個出荷されており、2018年にはスマホと連携できるスマートウォッチの出荷台数が4.85億個に達するという予測もあり、ウェアラブル端末市場でも大きく期待されている分野である。また、スマートグラスも、製造現場や物流管理などの新たな用途が創出されれば、伸びは充分に期待できるだろう。

 現時点で、Googleはスマートグラス、Appleがスマートウォッチという見方がされているが、一方でMicrosoftもGoogle同様、スマートグラスの開発を進めているのではないかといわれている。まだ製品化というには早すぎる段階のようで噂の域を出ないものの、Microsoft社は近年、自社ブランドのWindowsタブレット「Surface」などを市場に投入するなど、ソフトウェア会社からの脱却を図っており、この噂も充分に現実的な予測と考えられるのではないだろうか。

 他にも、世界中の大手家電メーカーが集結することで知られる国際家電見本市「International CES2013」では、皮手袋型のウェアラブル携帯電話も登場しており、ウェアラブル端末の形状についても、まだまだ可能性が広がりそうだ。

 さらに、CES2013では、センサー技術を使ったアイデアが多彩に発表されており、とくにモバイルヘルス分野へ応用されたウェアラブル端末が豊富に紹介されていた。年明け1月7日から米ラスベガスで開催される予定のCES2014においても、おそらくその発展型が数多く出品されるに違いない。

 しかし、それらウェアラブル端末を開発する上で、どうしても避けては通れない課題がある。それは部品の小型化だ。ウェアラブル端末は身に着けるものなので、いくら高性能だからといって、邪魔になるような大きさでは本末転倒だ。スマートフォン並みの機能を有しながら、格段に小型軽量化するためには、部品の一つ一つが超小型化される必要があるのだ。

 そこで今、世界中からクローズアップされているのが、日本企業の洗練された微細化技術である。たとえば、ローム<6963>は微細化の限界を超えた世界最小部品「RASMID(ラスミッド)シリーズ」を展開。0402(0.4×0.2mm)サイズのショットキーバリアダイオードを開発したほか、抵抗器では03015(0.3×0.15mm)サイズの量産を開始しており、その先の0201(0.2×0.1mm)サイズも視野に入れている。また、村田製作所<6981>でも、Wi-Fi/Bluetooth)、Radio Frequency/Base Bandなどの無線通信に対応できる、ウエアラブルコンピュータ向けの水晶振動子の商品化に成功して、モバイル機器市場への本格参入を明言している。さらに電子部品のセラミック製パッケージで世界シェア約8割を誇る京セラ<6971>では、薄さわずか約1ミリの世界最薄フィルムを使用し、高い志向性を発揮する「ピエゾフィルムスピーカー」などを開発しており、液晶テレビなどの家電はもとより、ウェアラブル端末への応用も期待されている。

 来年は4月に消費税の増税も控え、日本経済は大きな山場を迎える。そうした中、先の野村総研の予測では13年度の18億台から18年度には21億台に成長するとされるスマートフォン市場、そして18年度には国内だけでも年間475万台の販売が見込まれている、ウェアラブル端末市場、それらの核となる電子部品に日本の部品メーカーの技術が他国製品を圧倒しているのは非常に心強く、頼もしい限りだ。

 早ければ来年中にでも噂の「iWatch」や「Google Glass」などが発売されれば、ウェアラブル端末市場が予測よりも拡大することも、大いに考えられる。2014年は日本電子部品メーカーのさらなる躍進の年になるかもしれない。(編集担当:藤原伊織)