次世代技術で賑わった、世界最大級の組み込み専門技術展「ET2013」

2013年11月30日 19:10

ラピス画像

「ETアワード」のスマートヘルスケア部門で優秀賞を受賞したラピスセミコンダクタ

 毎年この時期になると、東京モーターショーの話題で盛り上がるが、それと同じ時期に目的意識の高い技術者やマネジメント層からの高い注目を集めている世界最大級の組み込み専門技術展「ET(Embedded Technology)2013」が開催されている。これは、次世代デジタル家電や携帯端末、カーエレクトロニクスなどの最先端テクノロジーに欠かせない組込み技術とソリューションが集約された専門技術展とカンファレンスで、今年も11月20日(水)から22日(金)の3日間に渡り、パシフィコ横浜の全展示ホールを使用して開催された。

 今回は、前回を上回る813小間、出展403社(団体)が参加。「Be Connect with ET」がテーマに掲げられ、IoTやM2Mといったインターネットと連携する最新技術をはじめ、組込み業界が注目する新成長応用6分野「スマートエネルギー」「オートモティブ/交通システム」「ロボティクス」「モバイル/クラウド」「スマートヘルスケア」「スマートアグリ」における最新のソリューションが紹介された。

 ET2013は組み込みシステム技術に特長をもつ技術展なので、最先端のCPUやOSを展示するIntelやMicrosoft、ARMなどのブースがひときわ賑わっていたが、日系企業でもBluetooth Low Energyモジュールを始めとするヘルスケア・ウェアラブル端末関係の展示を行っていたローム<6963>や、村田製作所<6981>、NEC<6701>などのブースでは、とくに大勢の人だかりが目立った。

 この三社はそれぞれ、ET2013に展示されたすべての製品や技術、ソリューションの中から、国内産業活性化への貢献などが見込める優れたものを表彰する「ETアワード」の受賞社に選出されている。村田製作所は、老若男女誰もが使いやすいインタフェースが魅力の「どこでも買物メモシステム」で、モバイル/クラウド部門の優秀賞を、またNECは低負荷・高圧縮の画像コーデック「StarPixel」で先端テクノロジー賞を、そしてロームは、グループ子会社であるラピスセミコンダクタが、市販のコイン電池の使用で、24時間駆動しても2年間使用できる低消費電力ソリューション「Bluetooth Low Energy LSI(ML7105-00X)&モジュール(MK71050-02)」で、スマートヘルスケア部門の優秀賞を獲得した。

 いずれも、将来的に益々市場の拡大が予想される有望な分野であるとともに、日本の経済を大きく牽引することが期待できる市場だ。とくにスマートヘルスケア分野は、Google glassやiWatchなどの話題も先行し、すでにブームの兆しが見え始めているウェアラブルコンピュータ市場で躍進することが期待されている分野でもある。

 近年、ITや電化製品の市場では、中国や韓国をはじめとするアジア勢の躍進も目覚しいが、最先端技術の中心に日本の技術力がしっかりと存在感を保っているのは、非常に心強いことだ。日本が真に他国に誇るべきことは、技術力もさることながら、それを根底で支えている日本企業の努力と研鑽、そして常に向上心を持って技術革新を目指す姿勢なのではないだろうか。(編集担当:藤原伊織)