スマートフォン(多機能携帯電話)の販売数伸び悩む一方で、今年、ガラケー(ガラパゴス携帯)と呼ばれる従来型携帯電話の存在がユーザーたちによって見直され始めた。こうした動きに反応して携帯電話大手3社も、冬と春の新モデルでガラケーの新機種を投入している。急速に出荷台数を伸ばし続けていたスマートフォンに対して、ガラケーが反撃ののろしを上げ始めた。
民間調査の会社MM総研の発表によれば、2013年度上期(4~9月)のスマートフォンの出荷台数は前年同期比で14.5%ダウンの1216万台。MM総研の横田英明取締役研究部長はこの状況について、「機能の進化や差別化が停滞していること、そしてパケット通信料や通話料が高いことが原因となり、ガラケーからの買い替えが思ったよりも進んでいない」と述べている。
事実、NTTドコモ<9437>の13年9月末時点での携帯電話総契約数は6177万件で、そのうちスマートフォンの割合は34%であった。NTTドコモは13年度の目標販売台数としてスマートフォン1600万台、ガラケー850万台を掲げているものの、スマートフォンの契約数の割合は40%にとなる見通しだ。販売台数そのものはスマートフォンにシフトチェンジされていても、まだなお契約者の多くはガラケーを使用しているという現状が浮かび上がった。
MM総研の横田取締役研究部長が述べている通り、ガラケーを使用しているユーザーがスマートフォンへの移行をためらうのは、それにかかる料金の高さにある。スマートフォンの使い放題のデータ通信料は大手3社共に月額5460円、そして通話料は一律30秒で21円。そしてガラケーには設けられている無料通話というものもない。こうした状況が、ガラケーの復活を後押しする形になっているようだ。
また機能性の複雑さも乗り換えにストップをかける要因となっているようで、携帯電話を使用する人たちの間では、「通話とメールが出来ればそれで十分」という考えも根強く残っている。
大手3社が冬春の新モデルにガラケーの新機種を投入することにより、ガラケー利用者層拡大の傾向に拍車がかかることが予想される。一時期は「携帯電話」と言えばスマートフォンを指すまでの状況となっていたが、来年は、そうした状況に変化が表れることとなるかもしれない。(編集担当:滝川幸平)