厚労省によると、日本人の有給取得率は48%。1年間に1人あたり平均17.9日の有給休暇が与えられているにもかかわらず、そのうち8.6日しか使われていない(平成23年 就労条件総合調査結果の概況)。
どんな職場環境なら、有給が取りやすいのか。内閣府の「ワーク・ライフ・バランスに関する意識調査」によると、休暇の取りやすさ、労働時間の長さは「上司の目」に左右されるようだ。
調査では有給の取得率が低い人ほど、「有給を申請すると上司にネガティブな評価を受ける」と考えていることが分かった。自分の上司が、有給取得者に対し「仕事より自分の時間を優先する人」「仕事に対する貪欲さ・熱意が少ない人」というイメージを抱いていると答えたビジネスパーソンほど、有給取得率が低かった。
一方、上司が有給取得者に対して「時間管理が上手」「オン・オフのメリハリがある人」とのイメージをもっている人ほど、有給取得率が高い。上司がメリハリをつけた働き方を評価する職場では有給が取りやすいのだろう。
労働時間についても同じような傾向がある。労働時間が長い人は、自分の上司が残業している人に対して「頑張っている」「責任感が強い」など、ポジティブなイメージを持っていると考える傾向にあった。
また、正社員のビジネスパーソンに「長時間労働の削減に効果的だと思う取組み」を尋ねたところ、「計画的な残業禁止日の設定」「上司の声かけ」「短時間で質の高い仕事を評価」「担当がいなくとも他の人が代替できる体制」などがランクイン。
このうち、実際に職場で取り組まれている割合が少なかったのは、「短時間で質の高い仕事を評価」「担当がいなくとも他の人が代替できる体制づくり」だった。この2点を実現できている企業は相当少ないのだろう。
いくらワーク・ライフ・バランスが叫ばれても、管理職の評価基準が変わらない限り、部下は「勤労の美徳」を捨てきれない。日本人の働き過ぎは企業風土と結びついた、根深い問題である。(編集担当:北条かや)