育休給付金増額はイクメンを増やせるかもしれないが、マタハラには逆効果?

2013年12月12日 17:33

 イクメンという言葉は、今やすっかり市民権を得たようだが、収入減をためらって育児休業を取得できないという声もよく聞く。

 そんな中、厚生労働省は、育児休業給付を最初の半年間に限り、現行の賃金の「50%」から「67%」に引き上げることを中心とした雇用保険制度見直しの報告書案を、労働政策審議会の部会に提示した。

 これは父親の育児休業取得率を引き上げ、同時に母親の子育て負担を軽減するのが狙いだ。部会は月内に報告書を了承する見通しで、厚労省は来年の通常国会に雇用保険法改正案を提出し、2014年度中の実施を目指す。

 たとえば、母親が産後2ヶ月の産休を取得後、そのまま半年育児休業をとる。そしてその後、今度は父親が、育児休業を取得すれば、その世帯は1年間、賃金の67%が保証されることになる。これによって経済的な負担を抑えることができ、父親の育児への参加が期待されるとしている。

 しかし、問題はそれだけでクリアできるのだろうか。筆者の知人女性が昨年、育児休業を取得した。彼女の場合は経済的な問題はあまりなかったのだが、勤務先での、同僚らの冷たい反応が堪えたという。つまり、正社員で結婚していて、子供も産めたというのは、ある意味、同性からは嫉妬の対象になるのだという。なんだかあまりに心が狭いという気がするのだが、よくあるケースのようだ。その為、育児休業を取得する母親側も、周囲に過敏なほど気を遣うという。なんだかとっても窮屈な社会だとも思うが、これが現実のようである。

 実際、最近は、働く女性が妊娠・出産を理由に職場で受ける、精神的・肉体的な嫌がらせのことを「マタハラ」つまり「マタニティハラスメント」と呼んでいて一部で問題になっているという。今回の育休給付金増額で、「いいわね、休んでいて、貰えるお金が増えるなんて」といった同僚の「マタハラ」が増えることもあるかもしれない。

 育児休業給付金の増額は喜ばしいことであるが、同時に「マタハラ」防止の為の啓蒙活動も求められていることを政府は認識すべきだろう。(編集担当:久保田雄城)