2014年の日経平均は14500~20000円の間で動く
2013年の日経平均株価の年初来騰落率は+50%をオーバーした。これは朝鮮戦争特需の時代の1952年の118.38%、高度経済成長期で「列島改造ブーム」に沸いた1972年の91.91%に次ぐ戦後第3位のパフォーマンスの良さだった。2014年も同じような騰落率を期待するのはいくら何でも無理というもの。年間予想のポイントは、それをどこまで割引いた数字で着地できるか、である。16000円に対し、+50%なら24000円、+40%なら22400円、+30%なら20800円、+20%なら19200円、+10%なら17600円、-10%なら14400円、-20%なら12800円になる。
2013年に株価が上昇した要素は、「ドル円で約17円の為替の円安」「アベノミクスの三本の矢への期待」「日銀の異次元金融緩和」「アメリカの好景気と株価上昇」などだった。しかし2014年は今のところ、そうした要素に匹敵するものが見当たらない。逆に、株価を下落させる大きな要素が4月以降に確実にある。「消費増税の影響による景気減速(悪くすれば景気後退)」である。
それを考えると、日経平均の2013年並みの+50%上昇はまずないとみていい。半分の+25%もちょっと怪しい。精いっぱいポジティブに考えても、+20%、19200円前後までが関の山ではないだろうか。それも最高値であって、年末の最終値ではない。最高値をつけるとすれば消費増税の影響による景気減速が始まる前、増税前の駆け込み需要が盛り上がっている3月頃までになるとみられる。
逆に、-20%、12800円の悲観シナリオもちょっと考えにくい。1年前に比べると為替の円安、企業業績の回復、景況感の回復が進んだからで、年初の水準から3000円以上の下落となると、たとえば朝鮮半島有事のような相当大きななリスクオフ要因が必要になる。ただし、-10%、1600円下落して14400円になるようなリスクオフは、たとえばユーロ圏のどこかの国の政治の混乱と中国経済の変調が同時に起きるように、悪条件が重なれば十分ありうるだろう。
それらを考え合わせると、2014年の日経平均の変動レンジは、多少修正を施して14500~20000円とみる。それを前提に、四半期ごとの変動を考えてみたい。
■1~3月:20000円にどこまで接近できるか
1~3月は、消費増税前の駆け込み需要が大変な盛り上がりをみせると予想する。参考になるのは17年も前の1997年4月の消費増税時ではなく、家電エコポイント制度のポイントが2010年12月1日購入分から半分に減らされた際のデータ。薄型テレビは前年同月比で10月が143.7%増、11月が158.7%増と、倍増を超える出荷数だった(電子情報技術産業協会調べ)。消費税は家電だけでなくほとんどの商品に課せられるので、生鮮食料品を除けば日本国中いたるところの小売店で「売上が前年同月比倍増以上」の商品が続出し、残った商品の奪いあいまで起きるかもしれない。家庭内に買いだめした商品を置く収納スペースがなくなり、物置の稲葉製作所<3421>やトランクルームが繁盛しそうだ。
その熱に浮かされて、株価も上昇する。タイミングとしては3月期決算企業の第3四半期決算が出てくる1月下旬から2月にかけての「通期業績見通し上方修正ラッシュ」で火がつき、その後に出てくる2月期決算の小売業の業績観測記事が火に油を注ぐ。日経平均は20000円の大台にどこまで接近できるか。