25日のNY市場はクリスマスで休場。26日朝方の為替レートは、ドル円が104円台前半、ユーロ円が142円台後半だった。
実質上の新年相場入り、NISA口座への受け入れ開始の日の日経平均は77.08円高の16087.07円で続伸スタート。注目のTOPIX始値は+5.16だった。日経平均はすぐに16100円台に乗せる。東京市場で新発10年物国債利回り(長期金利)が一時0.700%まで上昇し、それに伴い為替がドル円104円台後半、ユーロ円143円台前半まで円安が進んだため先物買いも入って、午前9時47分には16186円まで上昇し年初来高値更新。10時台に大きく凹む局面もあったがすぐに戻し16155.51円で前引け。業種、銘柄を問わず広く買われてTOPIXは+19.39まで上昇した。
後場は日経平均は16150円近辺、TOPIXは1280近辺で横ばい安定。2時台に入ると共に下げる場面があったが、日経平均はすぐに回復しさらに上昇していく。前場はTOPIXの後塵を拝していたが、後場はソフトバンク<9984>を先頭に「日経平均の逆襲」に出た。TOPIXとの高値取り競争を投資家は大歓迎。元氣があってよろしい。終値の日経平均は164.45円高の16174.44円で7日続伸。日中値幅は104円。TOPIXは+21.16の1279.34で5月22日以来の終値ベース年初来高値更新。ザラ場ベース年初来高値は5月23日の1289.77。上昇率は日経平均1.03%、TOPIX1.68%でTOPIXに軍配があがり、NT倍率は12.64に圧縮された。売買高は26億株、売買代金は2兆1833億円だった。
値上がり銘柄数1620で東証1部全体の91.2%を占める全面高。値下がり銘柄120の大部分は12月決算の配当権利落ちというメカニカル要因だった。33業種全てプラスで、上位は証券、パルプ・紙、建設、その他金融、保険、鉄鋼など。下位は鉱業、ゴム、石油・石炭、精密機器、小売、空運などだった。
日経平均採用225種で値上がりは203銘柄で、値下がりは18銘柄のみ。プラス寄与度1位のソフトバンクは後場メキメキ上昇し終値300円高で年初来高値を更新し寄与度は+35円。2位はファナック<6954>で+9円。マイナス寄与度1位はファーストリテイリング<9983>で-11円。2位はキヤノン<7751>で-4円だった。
みずほ<8411>は、金融庁がみずほ銀行に一部業務停止を命じると報じられたが、タイミングがNISA買い開始と重なったため5円高。三菱UFJ<8306>は15円高、三井住友FG<8316>は120円高と大きく上昇した。証券セクターは朝から業種別騰落率1位を独走し、野村HD<8604>は売買高2位、売買代金3位で36円高、大和証券G<8601>は売買代金10位で55円高、年初来高値更新。値上がり率ランキングでは光世証券<8617>が7位、東海東京FHD<8616>が10位に入っていた。
自動車株ではトヨタ<7203>が待ってましたの180円高。個人投資家の人気が高いため節税対策売りも大きければNISA買いも大きくて売買代金2位で、前場は1位だった。富士重工<7270>は47円高で上場来高値を更新し、マツダ<7261>は19円高で年初来高値を更新。いすゞ<7202>が買われて29円高だった。電機は日立<6501>こそ売買代金9位で25円高と買われたが、それ以外は東芝<6502>が8円高、シャープ<6753>が6円高、ソニー<6758>とパナソニック<6752>がともに5円高と波に乗りきれなかった。電子部品ではメリルリンチが目標株価を引き上げたTDK<6762>が95円高で年初来高値を更新した。
KDDI<9433>は50円安で全面高でもカヤの外。エイチーム<3662>は前場に年初来高値を更新しながら150円安。王子HD<3861>12円高、日本製紙<3863>92円高、大王製紙<3880>44円高でともに年初来高値を更新し、このところ好調続きの紙パセクターは業種別騰落率2位になった。
値上がり率ランキングは中・小型建設関連銘柄ラッシュで、値下がり率ランキングのほうはこの日が配当権利落ちの12月決算銘柄でにぎわうという、はっきりした現象がみられた。建設セクターは国土交通省が補修費用を捻出するため高速道路の有料期間を2065年まで15年延長する方針を打ち出したことが買い材料で業種別騰落率3位。値上がり率3位には売買高6位にも入った日本橋梁<5912>、5位に九電工<1959>、6位にデイシイ<5234>、9位に東亜建設工業<1885>、12位に東亜道路<1882>、13位に駒井ハルテック<5915>が入った。値下がり率ランキング10位以内の12月決算銘柄は、1位のアサツーDK<9747>、3位の多木化学<4025>、6位の電算システム<3630>、7位の昭光通商<8090>、9位のオノエンHD<2533>、10位のアルプス技研<4641>と6銘柄もあった。主力株でも12月決算銘柄は、ビール大手3社は全てマイナスで、横浜ゴム<5101>が17円安、トレンドマイクロ<4704>が50円安、昭和シェル石油<5002>が27円安、キヤノンが80円安。その子会社のキヤノン電子<7739>は12月期の営業利益を下方修正したこともあり49円安だった。しかしながら日経平均は権利落ち推定分16円を全く問題にしなかった。
不思議だったのが、最低購入代金がNISAの100万円枠をはみ出しNISA買いはないと思われたオリエンタルランド<4661>の350円高、任天堂<7974>の120円高、歌舞伎座<9661>の25円高。終値時点で最低購入代金100万円オーバーの「NISA利用不可能銘柄」は全市場で113あった。個人投資家は節税対策売りで現金化(MRF化)した待機資金でNISA買いしたついでに、株主優待は非課税の優待取り銘柄も買ったのか。
この日の主役はロンドンが本拠のヘッジファンド「ブレバン・ハワード」。日経新聞朝刊の「スクランブル」欄で証券部の川崎健記者が、前日までのTOPIXと遊離した日経平均の上昇ぶりについて「犯人はおまえだ!」という感じで名指しでくわしく記事を書き、兜町は朝から大騒ぎ。11月以降、400億ドルの資金力で日経平均先物で相場を張って大成功したという。しかし正体をバラされて動きにくくなったのか、狙い撃ちしたファーストリテイリングは7日ぶり反落で300円安。共同創業者のアラン・ハワード氏は1月に来日するのでその時もひと騒動ありそうだが、記事によると5月23日の大暴落後しばらくは損失を出していたというから、この人を恨むのは筋違い。もっと悪い奴が他にいる。(編集担当:寺尾淳)