24日のNYダウはクリスマス・イブ恒例の午後1時までの短縮取引。閑散取引の中でも62.94ドル高で5日連続史上最高値更新。10月のFHFA住宅価格指数は前月比0.5%上昇。11月の新築住宅販売件数は前月比わずかに減少したが高水準を維持し、11月の耐久財受注も3.5%増で市場予測を上回って堅調に推移した。25日朝方の為替レートは、ドル円が104円台前半、ユーロ円が142円台で、前日とほぼ同じ水準。
25日は株式の年内受け渡し期限日で、証券優遇税制で株式の譲渡益への税率が10%ですむのはこの日の売却分で終了する。すなわち節税対策売りの最終日。CME先物清算値は15895円。取引時間前の外資系証券の売買注文動向は40万株の売り越しで、前日に日経平均が年初来高値を更新しても、決してリスクオンしたわけではない。日経平均は28.20円安の15861.13円で始まるが、午前9時台にプラスに浮上し前場はおおむね15900円台前半で水平飛行し、前引けは15953円。
後場は午後1時1分に15978円まで上昇するが、1時頃から黒田日銀総裁が経団連審議員会で講演し、量的・質的緩和に関して「リスクを点検し必要な調整を行う」と述べたものの反応薄で、利益確定売りに押されて日経平均は上げ幅を圧縮。しかし大引け直前に15950円近辺から急伸し、ほぼ高値引けの120.66円高の16009.99円で10月以来の6日続伸。2007年12月11日以来の終値16000円台に乗せた。日中値幅は157円だった。TOPIXは前場に数分プラスだった以外はずっとマイナスで推移していたが、土壇場でプラスに浮上し+0.63の1258.18と反発。NT倍率は12.72倍で、これは1999年3月25日以来の高水準になる。売買高は25億株、売買代金は2兆869億円で、クリスマスにもかかわらず2日続けて2兆円を上回った。
値上がり銘柄755よりも値下がり銘柄870のほうが多く、業種別騰落率も14対19でマイナスが優勢。プラスのセクターの上位はパルプ・紙、海運、建設、小売、証券、サービスなど。マイナスのセクターの下位は石油・石炭、電気・ガス、鉱業、繊維、陸運、空運などだった。
日経平均採用225種の値上がりは112銘柄、値下がりは100銘柄。プラス寄与度1位は2000円高で年初来高値更新のファーストリテイリング<9983>の+78円で、1銘柄で値上がり幅の65%を占めた。2位はKDDI<9433>で+9円。マイナス寄与度1位はソフトバンク<9984>で-4円、2位は電通<4324>で-1円だった。
メガバンクはみずほ<8411>1円安、三菱UFJ<8306>値動きなし、三井住友FG<8316>20円安とふるわなかったが、証券大手は野村HD<8604>3円安、大和証券G<8601>9円高で株高を反映して上昇。自動車は終盤に駆け込みでプラスになった銘柄が多く、トヨタ<7203>10円高、ホンダ<7267>5円高、日産<7201>3円高、富士重工<7270>29円高、マツダ<7261>11円高。しかし前日大きく上昇した三菱自動車<7211>は6円安だった。スズキ<7269>は燃費が1リットル29.2キロの軽SUV「ハスラー」をお披露目し、鈴木修会長が軽自動車税アップに恨み言を述べた後でミャンマー工場に意欲を見せて20円高。
電機は、ソニー<6758>は前日のアメリカの子会社が音楽楽曲情報管理のグレースノート社を売却したニュースに続き、有機ELテレビでパナソニック<6752>との提携を解消すると報じられ12円安。パナソニックは4円高。シャープ<6753>は1円高、日立<6501>は2円安、東芝<6502>は1円安。三菱商事<8058>の情報子会社を買収すると報じられたNEC<6701>は3円安。三菱商事は値動きなしだった。東京電力<9501>は、原子力損害賠償支援機構が過半数を保有している議決権比率を2016年度に2分の1未満に引き下げると共同通信が報じたが、売買高3位ながら9円安になった。
東京ガス<9531>は家庭にガス、電力、通信を一括供給する事業に進出すると伝えられたが2円安。8円高の資生堂<4911>は社長を外部から初起用するニュースがあり、日本コカ・コーラ元社長の魚谷雅彦氏が来年4月に「執行役員社長」に就任する。6月の株主総会後の取締役会で肩書きが代表取締役社長になる見込み。国内は異業種との競争が激化し、中国事業も尖閣問題以降は減速しており、舵取りが難しい時期の就任となる。セブン&アイHD<3382>は高級雑貨・家具店チェーンの「フランフラン」に資本参加すると伝えられ60円高。49%分、50億円前後を投資するという。
業種別騰落率1位のパルプ・紙セクターの主な上昇銘柄は日本製紙<3863>65円高、北越紀州<3865>9円高など。値上がり率1位は前日も大きく上げた藤倉ゴム<5121>の100円高。エイチーム<3662>はこの日もストップ高の1000円高で同3位。同9位には前日に上半期の決算を発表し営業利益が22%増と好調で173円高のウェザーニューズ<4825>が入っていた。その他の値上がり率ランキング上位は9月の東京五輪決定直後を思い出させる中堅建設関連銘柄のオンパレード。2位に54円高の大豊建設<1822>が入り、6位は24円高の鉄建<1815>、7位は22円高の熊谷組<1861>、8位は10円高の世紀東急工業<1898>で、20位以内に13銘柄も入っていた。
株主還元優良銘柄のユニ・チャーム<8113>の170円安で値下がり率16位、ゲーム関連の大御所の任天堂<7974>の90円安あたりは個人投資家の保有比率が高く、この日が最終日の節税対策売りのターゲットになっていたようだ。しかし株主優待人気ナンバーワンのオリエンタルランド<4661>は220円高で、この特典は税率が2倍になろうが手放したくはないようだ。
この日の主役はソフトバンク。買収したスプリントを通じてアメリカの携帯電話第4位のTモバイルUS買収の方針を固めたという報道が流れ、東京市場でも朝から注目の的になった。買収時期は来年春、金額は2兆円強と第一報に比べて事の詳細も具体化。買収に成功するとソフトバンクグループの携帯電話事業の総年間売上高は約7兆円になり、中国移動(チャイナ・モバイル)を抜いて世界第2位に浮上する。株価は売り先行で始まり、プラスになったのは9時台に少しだけ。売買代金1位ながら終値は40円安だった。事前の観測報道が流れたこと、ディッシュなど買収の競合相手もいること、アメリカ司法省の承認が得られるかどうかで不安があることなど、アラを探せばいろいろある。(編集担当:寺尾淳)