【日経平均】4円高の日経平均もTOPIXも年初来高値更新

2013年12月27日 20:49

 クリスマス明けの26日のNYダウは122ドル高で6日続伸。市場参加者が少ない中、長期金利が3%に何度もタッチしても新規失業保険申請件数が市場予測を下回ったのを好感して3ケタ上昇した。NN倍率接近中で、日経平均の数字が後ろからあおっているかのよう。日米の株式市場も高値取り競争で白星街道驀進中。27日朝方の為替レートは、ドル円が104円台後半、ユーロ円が143円台半ばで、前日夕方と変わらない水準だった。

 官庁御用納めなので取引時間前に政府機関から経済指標が一斉に発表された。厚生労働省の11月の労働力調査は、完全失業率は4.0%で10月と同じ。有効求人倍率は1.00倍つまり「求人数=求職数」で、10月から0.02ポイント改善して2007年10月以来の1倍台に乗せ市場予測も上回った。総務省の11月の全国消費者物価指数(CPI)は前年同月比1.2%上昇で、市場予測の1.1%を上回り6ヵ月連続プラスで5年ぶりの1%台に乗せた。日銀のインフレ率目標2.0%の6割まで到達。12月の東京都区部の消費者物価指数(CPI)は0.7%上昇。総務省の11月の家計調査・実質消費支出(2人以上世帯)は前年同月比0.2%上昇で3ヵ月連続プラス。経済産業省の11月の鉱工業生産指数速報値は0.1%上昇の99.4で3ヵ月連続上昇だが、市場予測は下回った。経済産業省の11月の商業販売統計速報・小売業販売額は4.0%上昇で市場予測を大幅に上回った。雇用、物価、個人消費はおおむね良好な数字が出ている。

 日経平均は54.99円高の16229.43円と年初来高値更新でスタートするが、午前9時33分にドル円が2008年10月6日以来の105円にタッチした直後に反落すると先物が強く反応し、利益確定売りがドッと出て急落。日経平均もTOPIXもマイナスに落ちて、やっぱり金曜日。10時7分には日経平均は16077円まで下がった。それでもTOPIXは小幅安で底堅い。午前10時30分に発表された厚生労働省の11月の毎月勤労統計調査・現金給与総額は前年同月比0.5%上昇で5ヵ月ぶりに増加し、上海市場もプラスで始まり11時前には日経平均は16100円を超えて、前引けは16123円だった。

 ユーロ円が144円にタッチした後場も16100円前後のマイナス圏で水平飛行が続くが、値上がり銘柄は1000を超えTOPIXはプラスという「NTねじれ現象」。午後1時27分に16056円まで下げてこの日の安値を取るがV 字回復してすぐ元に戻る。日経平均は16100円前後の水準が続いたが、2時30分頃から「TOPIXの上昇に引っ張られる日経平均上昇」という珍しい現象が発生。2時49分にはついにプラスにタッチ。TOPIXは2時51分にザラ場ベースの年初来高値1289.77を7ヵ月と4日ぶりに更新し、日経平均とともに忌まわしき大暴落の「5月23日」を完全に克服し新年を迎える。日経平均終値は4.50円高の16178.94円で8日続伸。4戦全勝し前週末から308.52円上昇して今週の取引を終えた。日中値幅は176円。大奮闘のTOPIXは+10.73の1290.07で3日続伸し、NT倍率は12.54とさらに圧縮された。売買高は26億株、売買代金は2兆2190億円で、今週は4日間とも2兆円を上回っている。

 値下がり銘柄201に対し値上がり銘柄は1515で全体の85.3%を占める全面高。それでも石油・石炭と医薬品の2業種は値下がりセクターに入っていた。値上がりセクター31業種の上位は海運、倉庫、鉄鋼、不動産、空運、小売などで、下位は精密機器、電気機器、証券、保険などだった。

 日経平均採用225種は値上がり142銘柄、値下がり74銘柄。プラス寄与度1位のソフトバンク<9984>は+17円で、売買代金1位の150円高で連日の年初来高値更新。2位は続伸して130円高でこれも年初来高値更新のデンソー<6902>で+5円だった。マイナス寄与度1位はファーストリテイリング<9983>で-29円。750円安で日経平均を大引け11分前までマイナスに沈めた。2位は2型糖尿病治療薬「TAK-875」の開発中止を発表し、売買代金2位、値下がり率1位の売り浴びせを受け265円安の武田薬品<4502>で-10円。肝臓に対する安全性に問題があるといい、市場が巨大な糖尿病薬で承認近しとみられていたのでダメージは大きそうだ。

 メガバンクはみずほ<8411>5円高、三菱UFJ<8306>8円高、三井住友FG<8316>50円高と堅調でTOPIXを下支えしたが、前日好調だった証券は野村HD<8604>は2円高だったものの大和証券G<8601>は1円安で、やや低調。自動車ではトヨタ<7203>は後場プラスを維持し50円高、マツダ<7261>が10円高と堅調で3日続伸し連日の年初来高値更新。電機はソニー<6758>12円安、シャープ<6753>1円安など連日パッとしない中、富士通<6702>が12円高で年初来高値を更新していた。

 業種別騰落率1位の海運セクターは、日本郵船<9101>は4円高、商船三井<9104>は14円高、川崎汽船<9107>は9円高で年初来高値更新。同3位の鉄鋼セクターは、英国の資源大手アングロ・アメリカンと1~3月期の原料炭を10~12月期比6%安の値下げで合意し、採算改善につながるのを好感され売買高6位の新日鐵住金<5401>は6円高、同5位の神戸製鋼<5406>は3円高、JFEHD<5411>は79円高で3日続伸した。

 値上がり率1位は飽きもせず藤倉ゴム工業<5121>で今週4日連続ストップ高で売買代金11位。同3位のティアック<6803>は売買高も3位で、12円高で8日続伸し終値が111円になり株価2ケタ銘柄を卒業した。同4位の琉球銀行<8399>と9位の沖縄銀行<8397>は、仲井真沖縄県知事が午後に正式承認した米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設の見返りに、2014年度は15%増額した沖縄振興予算を2021年まで毎年3000億円台を確保していくと安倍首相が表明したのを材料に、沖縄電力<9511>、沖縄セルラー電話<9436>、沖縄県最大の流通企業サンエー<2659>とともに買われていた。カジノの沖縄県内誘致の話も出ている。

 この日の主役は小売業。前日、第3四半期(3~11月期)を発表した松坂屋と大丸のJフロントリテイリング<3086>は売上高、営業利益、純利益が過去最高を更新して13円高。高島屋<8233>は営業収益3.0%増、営業利益14.6%増で22円高。来年8月に業績不振の和歌山店を閉店し首都圏シフトを進める。両銘柄とも高級ブランド、時計、宝飾品、美術品など高額商品中心に販売が好調だった。三越伊勢丹HD<3099>は16円高。傘下にそごうと西武百貨店を持つセブン&アイHD<3382>は100円高で年初来高値を更新した。しかし衣料専門店のしまむら<8227>は秋の台風や高気温で苦戦し第3四半期決算は7%の営業減益で値下がり率7位の270円安。「デフレの王者」と言われたが、円安デメリットに消費者物価指数が上昇するインフレが加わったら、どうなるだろうか。(編集担当:寺尾淳)