【日経平均 2014年の展望】4月の消費増税後は景気が減速し、大幅上昇はとても期待できない

2014年01月01日 13:14

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2014年は4月の消費増税をめぐる駆け込み需要とその反動減という経済への影響が甚大なイベントがあり、株価もそれを軸に動くことになる。

■4~6月:景気減速か、それとも景気後退か

 駆け込み需要の熱気は、3月31日をもってプツンと途切れる。消費税率が5%から8%に変わり、生鮮食料品以外は「もう、誰も物を買わなくなった」と言ってもいいような「氷河期」に突入し、小売業の4月の販売額は急減する。個人消費の縮小の影響が生産と在庫の調整で間に合うような「景気減速」の段階にとどまるのか、それとも中小企業の倒産が急増して失業率が悪化するような本格的な「景気後退」にまで至るのかはちょっと予測がつかないが、後者であれば政府は緊急経済対策を講じる必要が出てくるだろう。その時には日銀の「インフレ率2%目標」の達成も全国消費者物価指数(CPI)がマイナスに転落して危うくなっているはずで、「付利の撤廃」などの追加金融緩和に踏み切るのではないかと思われる。

 ただし、4月の経済指標のデータが揃うのは景気ウォッチャー調査を除けば5月末以降になる。それまでは駆け込み需要の反動減がどの程度か株式市場も暗中模索することになる。おそらく株価は「山高ければ谷深し」という解釈で動き、3月までの最高値が高ければ高いほど、4月以降の下落の幅もまた大きいだろう。そこへ企業の販売データが揃い、3月期決算企業の本決算の通期見通しに悲観的なものが出てきて、悪化した経済指標も出揃ってくる5月末頃から6月にかけての時期になると、株価は一段安になり最悪15000円割れもありうるだろう。

■7~9月:16000円近辺で安定すれば上出来

 消費増税後3ヵ月も経過すれば、駆け込み買いで買いだめした商品もそろそろ底をつき、消費はわずかながらでも上向き始めるだろう。その頃には政府の経済対策や日銀の追加金融緩和の効果も効いてくる。「個人消費の下げ止まり」を確認すれば株価は敏感に反応して上昇しはじめる。それでも2月期決算企業、3月期決算企業の第1四半期の業績数字にはボロボロなものが出てくるので、16000円近辺で安定すれば上出来というところか。アメリカの好景気もそろそろ減速し始める頃合いで、FRBのイエレン議長も金融政策をどうするか舵取りが難しくなってくるだろう。

■10~12月:国内外の政治が影響を及ぼすか

 消費増税から半年も経過すると、商品によるバラツキはあっても個人消費はけっこう回復してくることだろう。とはいえ、駆け込み需要の反動減による企業業績への影響は長引き、第2四半期決算は引き続き低調で、通期業績の下方修正が相次ぐことも考えられる。

 この時期、アメリカでは中間選挙が行われており、結果次第では与野党対立が激しくなり、連邦債務問題をこじらせたり、日米関係に影響することもありうる。また、日本でも安倍内閣が2015年10月の消費税の8%から10%へ引き上げを予定通り実施するか、延期するか、政治判断が求められる時期にさしかかる。そうした政治的な要素も株価に複雑な影響を及ぼすだろう。年末にかけて上昇して年初来高値を更新するのは望み薄か。

 総じて言えば、2014年は4月の消費増税をめぐる駆け込み需要とその反動減という経済への影響が甚大なイベントがあり、株価もそれを軸に動くことになる。駆け込み需要の時期にひとしきり上昇したとしても、4月以降は多かれ少なかれ景気の減速はまず確実なので、2013年のような大幅上昇はとても期待できないだろう。「辰巳天井、午年尻下がり」というアノマリーも、案外当たらずとも遠からず、なのではないだろうか。(編集担当:寺尾淳)