豊和銀、公的資金の再申請を検討すると発表

2014年01月20日 07:32

 15日、大分県の第二地方銀行、豊和銀行<8559>は、金融機能強化法に基づく公的資金の再申請を検討すると発表。経営危機に陥った2006年に注入された公的資金である約90億円はいったん返済し、中小企業への積極的融資を進めるための資金を新たに受け入れるとしている。金額や時期については未定。

 豊和銀行はすでに、積極的な融資が手掛けにくいとされている、改正前の金融機能強化法に基づく公的資金の注入を受け取っている。今回、再申請を検討するのは、金融円滑化支援のための借り入れ要件が緩和された改正法に基づく公的資金に入れ替え、中小企業向けの資金供給を円滑にするためとしている。

 金融機能強化法は08年に改正されており、資本注入の要件が緩和された。改正法では、中小企業向けの融資円滑化や再生を目的とした金融仲介機能の強化に注力した取り組みを支援することにシフトチェンジされている。しかし、豊和銀行は改正前の金融機能強化法に基づく支援を受けていて、積極的な融資が行いにくいなどの制約があった。

 金融庁は14年3月末から、国際的な銀行規制「バーゼル3」に基づき、国内業務のみを手掛ける地銀や信用金庫・信用組合にも、普通株式と剰余金を中心としたコア資本で自己資本比率4%を確保するよう求める新基準を導入する予定だ。

 規制の水準は今の4%を維持するものの、損失を吸収するため資本の定義を厳格にし、資本を強化するように促す。そして新基準では、これまで自己資本比率の計算に参入された劣後債や劣後ローンなどは、算入出来なくなる。

 しかし新基準導入後、10年間の経過措置期間が設けられており、金融庁の関係者は、「地銀のほとんどは、利益の積み上げなどにより資本不足になる恐れはない」との見解を示している。しかしそうして新基準が適用される経過段階においては、「過去に発行した劣後ローンなどの償還に備える必要があるのでは」と不安視する銀行関係者もいる。

 13年9月末の時点の豊和銀行の自己資本は8.25%である。新基準で求められている水準はクリアしているが、今回の公的資金の再申請でもって、資本強化を促す新しい規制に対応したい考えがあるようだ。公的資金で注入される普通株式への転換条項付き優先株は、新基準でも資本に算入されることとなる。(編集担当:滝川幸平)