9月に入ったというものの猛暑が続く昨今。電力の逼迫が叫ばれていた関西電力管内でも大停電という最悪の事態はもちろん、計画停電も実施されることなく、節電要請期間満了を無事に迎えられそうである。とはいえ、昨年に引き続き節電を強いられてきた訳だが、家庭での努力が重要との認識が広がり、自治体や企業による節電コンテストなど、家庭での節電意識を高める取り組みが活発に行われている。家庭での節電対策といえばエアコンの温度設定などが主流であるが、我慢や根性論の話では限界があり、毎年続けていくことも難しいであろう。
そこで、家電などを省エネ性の高い最新設備へ買い替えることが重要となってくる。家電製品協会によると、最新のエアコンは10年前のものと比べて約40%の省エネを実現。テレビも、2009年型は1997年型に比べて年間消費電力で約48%、待機時消費電力に限ってみれば約88%もの削減が可能である。また、節電の舞台となる住宅も同様に、1990年に建てられた住宅に比べて今の住宅では大幅なCO2削減、そして光熱費の削減ができるという。住宅最大手の積水ハウスによると、「1990年に建てた住宅を積水ハウスの新築住宅に建替えるだけで23%削減できる」という。太陽電池や燃料電池といった創エネ機器を設置すれば当然、より大きな削減が見込め、蓄電池も組み合わせると、ピーク電力カットにより大きく貢献できる上、停電などの非常時にも電気のある安心の暮らしが実現できる。スマートハウスで注目されている積水ハウスによると3電池を搭載した環境配慮型防災住宅「グリーンファースト ハイブリッド」の販売は好調で、「昨夏の発売以来、300棟を超える販売実績を挙げている」とのことだ。
スマートハウスとは、「安全・安心・快適に暮らしながら、断熱性・気密性に優れた高品質な住宅に創エネ・蓄エネ機器やHEMS(ホーム エネルギー マネジメント システム)を連動させた住宅」と言うことが出来る。しかし、設備として住宅の重要な要素である創エネ・蓄エネ機器や省エネ家電などの能力を活かすも殺すも、土台となる「住宅」が鍵を握り、あくまで住宅そのものの質が重要となる。そのため、積水ハウスや大和ハウス、ミサワホームなどといった大手住宅メーカーは、自然の力を上手く活用した住宅をアピールしつつ、高断熱・高気密化の重要性を新聞広告などでも大きく紹介している。
国土交通省は、2020年までにすべての新築住宅に対して省エネ基準への適合を義務化する方針を表明している。昭和56年以前に建てられた耐震性が不十分とされる約1000万戸の住宅が、省エネ性能に優れた住宅に建て替われば、節電はもちろん、耐震性能アップによる安全性の向上も計り知れない。住宅は家電のように一定期間で買い替える性質のものではない。家庭での節電を考える時に最も重要となるのは、その舞台となる住宅の質、特に省エネ性能に目を向けることではないだろうか。