高齢化社会が進んでいる。介護や一人暮らしの高齢者への生活支援などさまざまな取り組みがなされている。このような中、地上デジタルテレビジョン放送を用いた地域情報の提供や見守り支援などを行う「総合生活支援サービス」の実証実験が開始される。実施するのは日立製作所とテレビ朝日。データ放送を使ったこのようなサービスの実証実験を行うのは首都圏では初めてだという。
「総合生活支援サービス」は、サービス利用者に対してテレビのデータ放送画面を利用し、お役立ち情報やコラムのほか、地域イベント・コミュニティ情報、買い物情報などを提供するサービス。また、一定期間、「総合生活支援サービス」の利用が無い利用者に対して電話などでコンタクトを取る「見守り」の機能を提供することが可能だ。
今回の実証実験は、神奈川県横浜市磯子区の洋光台北団地で、高齢者世帯を中心に約50世帯を対象に実施する。この団地は、「ルネッサンスin洋光台」として団地活性化の取り組みを行なっているという。日立はこの「総合生活支援サービス」で、サービスを提供するためのIT基盤として日立クラウドソリューション「Harmonious Cloud」によるPaaS環境を提供。また、サービス利用状況の分析・見える化を行うためのシステムを提供し、例えば一定期間サービスを利用していない利用者がいた場合はアラートを上げるなど、コンタクトを取る必要のある利用者の特定をサポートする。
一方、テレビ朝日は、利用者に提供するお役立ち情報やコラムのほか、買い物情報などのコンテンツの作成・提供を行う。また、利用者に対しての電話によるコンタクトは独立行政法人都市再生機構(UR)の関連会社である日本総合住生活が行い、システム運用のサポートは同じくURの関連会社であるURコムシステムが行う。
このサービスは家に居ながら地デジ、つまりTVで、情報が得られるというところは、もちろん画期的。高齢者にとってパソコンを使ったインターネットより、TVのほうがハードルは低い。それにもまして「見守り」サービスの提供が重要ポイントだ。高齢者は外出や動きわることが難しい方も多い。それに、非常時に自分から助けを呼ぶこともできない方も多いだろう。一定期間、利用が無い利用者に対して電話などしてくれれば、導入者も安心できるだろう。この実験がうまくいき、首都圏だけでなく、全国展開することを願いたい。(編集担当:慶尾六郎)。