利用者からは利便性が高いと評判の銀行窓販を通じた保険加入だが、認知度は低く、利用者にいたってはごくわずかだ。こうした状況を打開すべく、みずほ銀行と朝日生命はみずほ銀行の普通預金口座保有者を対象とした新たな団体医療保険を開発した。新たな商品は消費者の心をつかんで保険マーケットの裾野拡大と窓販のさらなる推進につながるのだろうか。
銀行による窓販に関する消費者アンケート調査結果(2013年3月公表)によれば、銀行窓販の利用者は未だ3%程度に留まり、窓販自体の認知度も5割弱と、国民生活に浸透しているとは言い難い。一方で、銀行窓販経由で生命保険に加入した人に理由をたずねたところ、「信頼できる」との理由が最も多く、次いで「担当の銀行員が適切な提案をした」が挙げられるなど、銀行ならではの信用の高さが消費者の安心につながってもいるようだ。
そんな消費者からの高い信頼感を持つ銀行と生命保険会社がタッグを組んで、このほど両者の強みを生かした新たな医療保険が誕生した。
団体保険の枠組みを超えた新たな医療保険とは、みずほ銀行と朝日生命保険相互会社が共同開発したのは「みんなのかんたん医療保険」。みずほ銀行に普通預金口座を持つ人に限定した無配当団体医療保険で、朝日生命によれば、銀行窓販におけるこのような形の生命保険商品は初めてとのこと。1月末からみずほ銀行での取り扱いを開始した。
通常の団体保険は企業の従業員などを加入範囲としているため、加入対象者の範囲が狭いという特徴がある。今回開発された商品はみずほ銀行の普通預金口座を持っている人を加入対象とするため、多くの人が簡単に加入できるのが最大の特徴。わかりやすいプラン設定とシンプルな保障内容に加えて、申込書、告知書、口座振替依頼書が一枚で完結するなど、銀行との共同開発であるメリットが発揮されている。
消費者アンケート調査によれば、保険会社を経由しなかった人の理由は「気軽に相談できる窓口がない」「保険会社との接点がない」などを挙げている。こうした消費者の声を紹介した上で、調査結果ではまとめとして「銀行店頭での案内によって、保険加入ニーズが顕在化するケースが多く、銀行窓販は保険マーケットの裾野拡大に寄与している」とも指摘する。みずほ銀行と朝日生命が共同開発した新たな医療保険は、さらなる保険マーケット拡大につながるのか、期待がされるところだ。(編集担当:横井楓)