総理施政方針演説の注目点 教育・経済・安保

2014年01月25日 18:04

 第186回国会が24日召集され、6月22日までの会期が幕開けした。安倍総理が「経済の好循環実現国会」と位置づけた今国会は、経済の好循環に向けた関連法案をはじめ、外交、エネルギー問題など課題にどう取り組むのか、その具体的な中身の議論が深まる実のある国会になることが期待される。

 安倍総理は、24日の施政方針演説冒頭に、2020年東京オリンピック、パラリンピックは「北海道から沖縄まで、日本全体の祭典」と強調し、「2020年とその先の未来を見据えながら、日本が新しく生まれ変わる、大きなきっかけとしなければならない」とし「その思いを胸に日本の中に眠る、ありとあらゆる可能性を開花させることが安倍内閣の新たな国づくりだ」と夢の持てる政治、政策をすすめることを約した。

 先の東日本大震災で未曾有の被害を受け、なお痛みが続く、東北地方については「福島沖で運転を始めた浮体式洋上風力発電。宮城の大規模ハウスで栽培された甘いイチゴ。震災で多くが失われた東北を世界最先端の新しい技術が芽吹く先駆けの地にしたい」とした。

 また、東京電力福島第一原発事故で特に深刻な福島の被災者らに対し「一日も早く故郷に戻っていただきたい。除染や健康不安対策の強化に加え、使い勝手のよい交付金を創設し、産業や生活インフラの再生を後押しする」と演説。「新しい場所で生活を始める皆さんにも十分な賠償を行い、コミュニティを支える拠点の整備を支援する」と政府としてできる生活再建支援策を惜しまない姿勢を強調した。

 東電第一原発の廃炉・汚染水対策には万全を期すとし「東電任せとせずに国も前面に立って予防的・重層的な対策をすすめる」と国の立ち位置を示し、対策に取り組む姿勢を改めて表明した。

 安倍総理は経済について「企業収益を雇用の拡大や所得上昇につなげる。そして消費の増加を通じて更なる景気回復につながる。経済の好循環なくしてデフレ脱却はない」と企業収益の向上を雇用や企業従業員らの賃金アップに反映させ、消費拡大につながるよう、これまでの経済政策をさらに推進する考えを強調した。

 安倍総理は「政府、労働界、経済界が一致協力して、賃金の上昇、非正規雇用労働者のキャリアアップなど具体的な取り組みを進めていく。その認識を共有した」と賃金アップに自信をみせたが、東証一部上場の大企業にとどまらず、どこまで裾野を広げることができるのか、また、広がるのかが4月の消費税増税の影響も含めて、ここは大きな鍵になる。

 また安倍総理は「来年度から復興特別法人税を廃止し、法人実効税率を2.4%引き下げ、キャリアアップ助成金を拡充し、正規雇用労働者へのステップアップを促進する」と語った。

 社会保障については「社会保障関係費が30兆円を突破した。少子高齢化の下、受益と負担の均衡がとれた制度へと社会保障改革を不断に進める」としたうえで「ジェネリック医薬品の普及を拡大する。生活習慣病の予防・健康管理なども進め、毎年1兆円以上増える医療費の適正化を図る。その上で消費税率引上げによる税収は全額、社会保障の充実・安定化に充てる」と消費税率引き上げ分は全額を社会保障にあてると改めて約した。そして「国民皆保険、皆年金をしっかり次世代に引き渡す」とした。