電通<4324>は2014年2月10日、同社の海外本社「電通イージス・ネットワーク」が、中国のソーシャル・クリエーティブ・エージェンシー「Verawom」(本社:上海市)の株式100%を同社株主から取得することで合意したと発表した。
Verawomは2009年に設立されたベンチャー企業。以来、中国のソーシャルメディア・マーケティングのリーディングカンパニーとして、ソーシャルメディアでのコミュニティの形成やクリエーティブ制作に強みを発揮してきた。13年10月に開催された中国国際広告祭の中国広告長城賞と11月のROIフェスティバでは、Verawomのクリエーティブ力が高く評価された。合わせて三つの金賞を受賞している。
電通はVerawomを買収後、海外ブランドのひとつであるIsobar(アイソバー)の中国グループに組み込み「Verawom?Linked by Isobar(ベラウォム・リンクト・バイ・アイソバー)」に改名する。
電通グループのメディア・コミュニケーション・エージェンシーである米国のCarat(カラ)が13年9月に発表した中国のデジタル広告費は、前年比で、12年は43.7%増。今後も40%前後の高い成長率が続くと予測している。このため、電通では、中国進出を目論んでおり、13年9月には、中国のデジタル・クリエーティブ・エージェンシー「TRIO」を100%買収した。そして、今回の買収により成長戦略を加速させる。
電通イージス・ネットワークは、電通が2013年3月に英国の大手広告会社「Aegis Group」を買収し、改名した企業。ここを拠点として、14年1月にはポーランドのベンチャー企業「Socializer S.A.」を買収した。さらに、同月、オーストラリアの広告会社グループ「Oddfellows Holdings」の株式51%を取得、2017年末までに完全子会社化すると発表した。
また、電通本社も世界最大級のデジタルコンテンツカンパニーである米国の「Getty Images」の日本法人である「ゲッティ イメージズ ジャパン」との業務提携を発表。さらには、タイとマレーシアにも営業拠点を設立している。
このように、電通は海外の拡大するデジタル広告市場戦略を積極的に推進している。広告代理店である電通としては、顧客の海外進出に伴い、海外での広告戦略を加速しないと生き残れないと判断したようだ。電通の今後に注目したい。(編集担当・慶尾六郎)。