電通<4324>は、小売業向けに電子商取引(EC)の開発、ソリューションを提供しているエスキュービズムと業務提携し、今後、共同でECプラットフォームを構築し、新しいソリューションの開発とサービスを提供することを2014年2月3日に発表した。
インターネットなどネットワークを利用して、商品を購入するECマーケットは、小売業全体が低迷している中でも高い成長を見せている。経済産業省の発表によるとBtoCマーケットは、11年度8.46兆円であったのが、12年度は9.51兆円(前年比112.5%)へ増加している。また、野村総研によると17年のマーケット規模は17.3兆円になると予測されている。
楽天の流通規模を見てみると、11年度1.25兆円から12年1.45兆円と15.3%増加。なお、1店舗当たりの売上も11年度271万円から12年度は296万円と9.2%伸びている。参入店舗が増加することで、市場が大きくなるのでは、企業には魅力はないが、このデータからも決して参入する店舗が増えているからだけの理由でECマーケットが拡大しているのではないことがわかる。
では、ECは参入すれば、無条件に成功するのであろうか。ECに参入しても、企業規模、取り扱う商品によって集客方法、販売方法、コンテンツ内容を工夫する必要がある。単純に参入するだけでは成功できるとは限らない。
そこで、電通とエスキュービズムは、企業ごとに異なる課題に柔軟に対応できるECソリューションを提供するべく、モジュールを組み合わせて、安価にサービスを提供できる「DECIDE」と呼ばれるECプラットフォームを開発し、3月上旬には販売を開始する予定である。
楽天などのECモールへの出店は比較的容易だが、自社でECサイトを構築するには、集客方法、販売方法、コンテンツ内容などの検討に加えてCRM、EC以外の販売チャネルとの相乗効果、相互利用をどう行うかなど多くの課題を企業規模に合わせて適正に構築する必要がある。
その支援を企業に規模や課題に合わせてモジュールを組み合わせることで、安価にサービスすることを目的とし、電通が得意とする広告を活かし、そこからECによる販売までを幅と深みのあるソリューションの提供を目指すとしている。
電通の得意土俵を考えると、マスメディア媒体を利用する規模の企業へのアプローチと考えられ、ECによってマスメディア広告の減少補完する狙いが見える。(編集担当:阪木朱玲)