電通<4324>の海外本社「電通イージス・ネットワーク」傘下のイージス・メディアが、中国のデジタルメディア・エージェンシーである北京创世奇迹广告の株式100%を取得すると発表。中国におけるオンライン広告のメディアバイイングなど、イージスのデジタル領域における統合的なマーケティングサービスのケイパビリティを強化する。
北京创世奇迹广告は、インターネットを通したより効率的・効果的な顧客へのアプローチを実現するeCRM領域のマーケティングサービスに強みを持っており、創業以来9年間で培ったオンライン広告に関する独自のデータベースを構築することで、中国において急成長しているオンラインゲーム業界をはじめ、「金融・保険」や「流通・小売業」などの顧客に対して、統合的なデジタル戦略立案とその実施サービスを提供している。一方のイージスは、中国においては複数の事業ブランドでオンライン広告のメディアバイイングを行っていたが、今回の買収により、北京创世奇迹广告が新たな事業ブランドとして加わることになる。これにより、オンライン広告のメディアバイイングの規模は中国最大級のものになるとのこと。
国内では早期退職者制度を実施する一方で、イギリスのイージス・グループの買収や、ミャンマーにて電通アジアの支店設立を実施するなど、国内を身軽にしながら海外での展開を加速させている電通グループ。グローバル企業と言えば聞こえはいいが、足元となる国内が蔑ろになってはいないだろうか。電通単体での平成25年度2月度売上高は前年比97.9%となっており、東京本社、関西支社、中部支社のいずれもが前年度割れとなっている。下げ幅が大幅ではないため一時的な数字ともとれるが、広告業界が持ち直しつつある中での前年度割れは軽視できないであろう。今後、電通がどこに向かうのか。注目が集まりそうである。(編集担当:井畑学)