ここしばらく販売不振に悩み続けてきた車が売れている。1月の国内の新車販売台数(軽自動車を除く)は29万6105台。昨年の1月に比べると、27.5%の伸び率だ。軽自動車は20万3659台で32.1%増、68年の統計開始以来、過去最高を記録した。これは消費増税前の駆け込み需要だが、日本自動車販売協会連合は1月がピークではないかとしている。自動車の場合、消費税が適用されるのは受注した日ではなく、ナンバープレートを取得した時点での税率が適用されるため、生産が間に合わない懸念もあるからだ。すでに工場がフル稼働している場合には、増産したくても増産できない状況である。
年明けからは家電や家具も駆け込み需要の恩恵を受けている。ビックカメラ<3048>の1月の売上高は前年より50%増。家具大手の島忠<8184>では昨年夏から駆け込み需要の動きがあったという。
食品メーカーでも駆け込み需要に備え、ピークとされる3月を前に品切れを避けるための増産体制の動きをみせている。キリン<2503>は3月のビールと清涼飲料水の販売量が前年より10%増を予測、「一番搾り」の生産を20%増やす。
「会社四季報」が上場企業3430社に行った調査では34%の企業が駆け込み需要を想定している。また消費者側でも昨年6月に行われた電通<4324>の調査で約7割のひとが駆け込み需要をするつもりだと答えている。
駆け込み需要が過熱すれば、当然予測されるのは増税後の消費の冷え込みだ。昨年10月実施のマクロミル<3730>の調査では増税後に節約するつもりだと回答したひとが68%。食費・飲料費が第1位で、外食・飲み会費、洋服、日用品、旅行等レジャー費用と続く。消費増税が景気の腰折れ要因になるのではないかと懸念されるなかベースアップはあるのか、それとも増税と同時に景気は冷え込みはじめ、またデフレ時代に逆戻りするのか。
賃金さえ上がれば物価上昇も増税も乗り越えられるというが、いまの時代に自分の賃金が上昇すると確信できるひとがいったいどれだけいるのだろうか。(編集担当:久保田雄城)