関西電力などが下水熱で新エネルギー開発

2014年02月28日 19:43

 関西電力株式会社<9503>は、下水熱を利用した、能力30から50キロワットの業務用ヒートポンプ給湯・暖房システムを開発した。関西電力は、10年に独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)より「都市域における下水管路網を活用した下水熱利用・熱融通技術」の研究開発を受託していた。公立大学法人大阪市立大学、株式会社総合設備コンサルタント、中央復建コンサルタンツ株式会社と共同でシステムの開発や実証試験などを行い、実用化するため研究を続けてきておりこの度、開発に至った。

 現在は空気を熱源にするものが主流になっているが、今回開発したシステムは都市部の下水管路を流れている未処理の下水を熱源にする、ヒートポンプシステムである。未処理の下水を使用するため、ゴミなどを取り除く必要がある。直径3ミリの穴の開いた網目状のスクリーンを、マンホール内の下水管の下部に設置するか、または下水管の底に縦型のスリット式スクリーンを設けるという、2種類の方法が採用された。これらの方法によって熱源として使用する水だけ採取ができる。また、今回開発された下水を活用する熱交換器は効率性も良く開発されており、従来の燃焼式ボイラより、給湯や暖房に使用する際の省エネルギー性が高くなった。従来は下水道法により、下水管路から未処理の下水の取水は認められていなかったが、12年8月に「都市の低炭素化の促進に関する法律」で特例が設けられ取水が可能になった。

 さらに、10年の6月には「エネルギー基本計画」が閣議決定された。現在、一次エネルギーの供給はほぼ輸入に頼っているが、20年までにその内の10%までを再生可能エネルギーに高めるという目標になっている。再利用エネルギーとしては、太陽熱や地中熱などがあげられている。

 原子力発電と違い、火力発電はCO2の排出という問題があるが、関西電力は発電の効率の向上や水力発電の維持や拡大などでCO2削減に取り組んできた。どのエネルギー源を利用しても問題は出てくるため、そのつど対策が必要のようだ。関西電力は、今後新しく開発されたエネルギーを、ホテルや病院、福祉、温浴施設での活用を目指しており、さらなる省エネルギーとCO2削減に取り組んでいくとのことである。(編集担当:高井ゆう子)