【今週の展望】日本全国大消費カーニバルに株価も踊れるか

2014年03月02日 20:12

 今の日本株はたとえて言えば、カーニバルのドンチャン騒ぎの最中に現れて、「四旬節になったらこれをするな、あれをするな」「悔い改めよ、天の国は近づいた」などとぶつぶつお説教をする神父さんのようなもの。バチカンには忠実でも、庶民からは敬遠される。せめて子どものサッカー大会の審判でも引き受けて、地域社会の中でカーニバルを一緒に楽しんでいる姿勢を見せるべきだろう。

 兜町が、4月以降のことをあれこれ取り沙汰するのを棚上げして、日本全国駆け込み大消費カーニバルを国民と一緒に楽しめるようになるには何が必要なのか。一つは「海外情勢の落ち着き」、もう一つは「安心感を与えられる政策」ではないだろうか。だが、今週はその2つとも望み薄だ。

 1月、2月の東京市場は外部要因に翻弄され続けたが、それは残念ながら今週も続きそう。3日のISM製造業景況指数が仮に良かったとしても、ウクライナ情勢は依然として予断を許さず、もし「ロシア軍侵攻」という事態になったら金価格が暴騰した1979年末のソ連のアフガン侵攻級の世界の一大事。そうでなくても6日のECB理事会は影響を受けそうだ。5日から始まる中国の全人代も、経済が権力闘争のとばっちりを受けるのはあの国では日常茶飯事で、何が飛び出すかわからない。ただでさえ今週は7日のアメリカの雇用統計を前にした様子見ムードなのに、さらに重苦しい空気に包まれそうだ。国内も、こういう時こそ政策のフォローが大事なのに、2月28日に来年度予算案が衆議院を通過して年度内成立が確定したばかり。新しい話が出てきにくいタイミングになっている。

 3日にファーストリテイリング<9983>が2月の国内ユニクロ既存店販売実績を速報するが、せめて、国内小売各社が同じように売上データを速報してくれたら、「駆け込み需要で空前の売れ行き!」とメディアが報じ、大消費カーニバル気分が盛り上がって東京市場の株価も少しは踊ってくれるのだが……。

 テクニカル面では、前週は前々週までの14900円付近の「ガラスの天井」を2月24日に突破し、25日に15094円、26日に15084円、27日に15015円の高値をつけて苦もなく15000円を超えられるようになったが、ザラ場中の下値探りもまだまだディープ。チャートでは「三角もちあい上放れ」のロケットが発射されていない。今週も薄商い・先物主導という条件は前週とそれほど変わらないと思われるので、下手をするとザラ場中に14500円付近まで下落する局面がありそうだ。それでも前週は「底を打ってV字回復」という場面がけっこう現れて反発力はついている。一方、上値のほうは12月30日の昨年来高値と2月5日の安値の間の「半値戻しライン」が15158円に、一目均衡表の雲の下限が15173円に、75日移動平均線が15235円に横たわって抵抗をみせそうで、終値でそこまで届かせるのは難しいだろう。

 ということで、今週の日経平均終値の変動レンジは14650~15150円とみる。東京市場の株価はまだ、春は名のみの風の寒さか。(編集担当:寺尾淳)