前週末21日のNYダウは29ドル安。中古住宅販売が市場予測を下回っても例によって「大寒波のせい」で片付けられ、増益決算のHPの株価上昇もあり午前中は高かったが、午後は前日終値をはさみ一進一退。最後は今年末か来年初めの利上げの可能性に言及したセントルイス連銀のブラード総裁の発言がトドメを刺した。23日までオーストラリアのシドニーで開かれたG20財務相・中央銀行総裁会議は、「G20全体の成長率を5年で2%以上底上げする」という初の数値目標を盛り込んだ共同声明を採択し閉幕した。先進国には「世界経済全体に配慮を」、新興国には「国内の経済問題の解決に努力を」と、双方をたしなめる内容もあり。心配されたテロもなくソチ冬季五輪は閉幕したが隣国ウクライナでは政権崩壊。24日朝方の為替レートはドル円は102円台半ば、前週末に一時141円台にタッチしたユーロ円は140円台後半だった。
日経平均は62.03円安の14803.64円で今週の取引開始。すぐに14800円を割り込み、午前9時6分に14752円まで下げるが、そこからV字回復。9時20分を回るとTOPIXが先にプラスにタッチしたが、日経平均も9時47分にプラスに浮上し、さらに14900円台に乗せ、9時57分には14950円を突破する。12日高値の14874円、21日高値の14888円、18日高値の14900円が並ぶ「ガラスの天井」も、上値抵抗ラインになりそうだった21日時点の26週移動平均14898円、25日移動平均14899円も、一気通貫にぶっちぎる。お天気よりも一足早く「春一番」が吹いたかのような急騰ぶりで、10時7分には14982円まで上昇した。だが、材料の裏付けが貧弱な先物主導の上昇はもろい。上海市場が3日続落で始まり下げ幅を拡大するにつれ11時台には14900円も割り、つかの間の春一番。それでもプラスを維持し前引は14880円だった。
しかし後場はドル円が前場のピークから円高方向に50銭以上も動き、マイナスで始まって14800円を下回って前場の安値に接近。いったん持ち直すが、午後1時台になるとボロボロ下げ続け、14700円も割り込んで1時21分の14658円でやっと底を打つ。売り材料として指摘されたのが中国の不動産規制強化、G20で求められた金融規制の強化。「不動産バブルいよいよ崩壊か」という不吉なシナリオも語られ、上海市場は2%を超える大幅安で香港市場もマイナスに転じた。伏魔殿の中国大陸から凍えるような寒風が吹き出し、「春一番」の後は寒の戻りが厳しい。その後の日経平均は14700円をはさんで安値もみあいが続いたが、2時30分頃から帳尻を合わせるかのように下げ幅を圧縮。14750円、14800円を超えて終値は27.99円安の14837.68円で、日中値幅は324円もあった。TOPIXは-3.42の1219.07。売買高は23億株、売買代金は2兆1328億円だった。
結果が小反落だったので東証1部の値上がり銘柄は752、値下がり銘柄は891と数の差は小さい。33業種別騰落率は値上がり11業種、値下がり22業種。値上がり上位業種は電気・ガス、ゴム製品、空運、水産・農林、情報・通信、食料品など。値下がり下位業種は保険、不動産、証券、陸運、銀行、その他金融などで金融系が多くなった。
日経平均採用225種のプラスは65銘柄、マイナスは152銘柄。プラス寄与度1位はファーストリテイリング<9983>で+9円、2位はKDDI<9433>で+8円と、「四天王」でも寄与度は小さい。マイナス寄与度1位は-4円の京セラ<6971>、2位は-3円の住友不動産<8830>だった。
金融系が悪い日でメガバンクも証券大手も、クレディセゾン<8253>77円安、アイフル<8515>12円安などノンバンクもマイナスの銘柄ばかり並び業種別騰落率下位に沈んだ。自動車は不振で、トヨタ<7203>は58円安。メキシコ第2工場が稼働を開始して北米の現地生産比率が95%にアップしたホンダ<7267>も19円安。その中でスズキ<7269>はジェフリーズ証券がレーティングを引き上げて62円高と逆行高した。ミネベア<6479>はSMBC日興証券が目標株価を引き上げ26円高で昨年来高値を更新した。