様々な分野でグローバル化が進んでいるが、アウトソーシングのグローバル市場も拡大している。国内では、人口減少や高齢化の影響からマーケットの大きな成長を見込めなくなっているため、海外進出を図る日系企業が増加している。また、海外でも自国以外のマーケットの獲得を目指す企業が増加しているからだ。矢野経済研究所がまとめた「グローバルアウトソーシング市場に関する調査結果 2014」によると、市場は2017年度には112兆2759億円に拡大するという。
この調査は、2013年10月~2014年2月に実施した。グローバルアウトソーシング事業者(SIer、システム運用保守事業者、データセンター事業者、BPO事業者等)を対象とした。調査方法は、同社の専門研究員による直接面談、電話・Eメールによる取材、および文献調査を併用した。
12年度から17年度までのグローバルアウトソーシング市場規模(事業者売上高ベース)は、年平均成長率(CAGR)4.9%で推移し、17年度には112兆2759億円に達すると予測している。
また、BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)サービスにおいても、日本国内のリソースのみを活用したBPOサービスでは、これまで以上のコスト削減効果を出せなくなってきており、オフショア拠点におけるリソースの活用に乗り出すアウトソーシング事業者が増加しているという。12年度から17年度までの日本国内向けのオフショアサービス市場(事業者コストベース)は、年平均成長率(CAGR)2.9%で推移し、17年度に1561億円になると予測した。
スマートフォンの普及によるコンテンツ量の増加や、世界で発生する災害への対策として情報システムを含めたBCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)に対するニーズなどが高まっており、各国ともにシステム運用管理・データセンターサービスへの需要が高まっていくと考える。システム運用管理・データセンターサービス市場の12年度から17年度までの年平均成長率(CAGR)は6.5%と高い伸びを示すと予測した。
グローバルアウトソーシング市場を地域別に見ると、「日本」、「北米」、「APAC(Asia‐Pacific、アジア太平洋地域)」、「EMEA(Europe, the Middle East and Africa、ヨーロッパや中東、アフリカ地域)」、「南米」に分かれ、市場規模としては北米地域が最も大きい。また、12年度から17年度までの年平均成長率(CAGR)が最も高いのはAPACだとした。
矢野経済研究所では、今後は先進国のアウトソーシング事業者の多くがマーケットの成長率が高い新興国へと進出していくため、アウトソーシング需要も新興国で高まっていくと予測している。特にAPAC地域や南米地域でアウトソーシング需要が高まると見込んでいる。(編集担当:慶尾六郎)