5日、衣料品専門店「ユニクロ」を運営するファーストリテイリング<9983>は、香港証券取引所に株式上場したことを発表した。ファーストリテイリングによる海外での上場はこれが初めてのこととなる。初値は28.60香港ドルで、参考価格から4.5%のアップとなった。
新しい株は発行せずに、日本にて発行する株式を裏づけとした香港預託証券(HDR)を発行した。ファーストリテイリングのHDRの価格は、薄商いの中で一時31%高の36香港ドルにまで上昇したものの、その後勢いは下がり9.5%高レベルで推移することとなった。東京市場の株価は前日比で2.8%高となっていた。1HDRは東京市場の株価の100分の1にあたり、4日の終値である3万5890円から算出された参考価格は27.36香港ドルで、5日の終値は28.9香港ドル(約380円)だった。東証での終値は3万6975円だった。
香港証券取引所では5日の朝に、ファーストリテイリングや香港の関係者などが集まり、ファーストリテイリングの上場を祝うセレモニーが開かれた。ファーストリテイリングは経済成長の著しい中国などに積極的な出店を続けているが、しかし同様にその市場でのシェア獲得を狙うヨーロッパやアメリカなどの競合企業との競争も激化の一途を辿っている。そうした中、今回こうしてアジアの主要な市場に株式を上場することにより、その知名度をより高いものにし、激化する競争に打ち勝ちたい考えがあるようだ。
またそのセレモニーには香港のメディアの記者が多数取材に訪れたほか、香港の証券会社の関係者からも香港市場の活性化に繋がるのではないかとの大きな期待が寄せられており、地元でもその関心は高い。そして香港証券取引所上場初日にHDR価格が堅調に推移したことからも、知名度の高いこの株式に対する投資意欲が高いことが伺えた。
今回の株式上場は、ファーストリテイリングが打ち立てた「2020年までに世界のトップアパレルになる」という計画の一環である。そしてファーストリテイリングは、今後香港以外での海外市場の株式上場に関しても、可能性はゼロではないとの見方を示している。(編集担当:滝川幸平)