ユニクロなどを展開するファーストリテイリング<9983>は、国連機関からの要請を受け、シリア難民への支援を決定した。同社は、グローバルパートナーシップを結んでいるUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)を通じて100万米国ドル(約1億円)の寄付と、UNICEF(国連児童基金)を通じてシリア難民の子どもたち(3歳~18歳以下)に、ヒートテックやウルトラライトダウンなどの防寒服約10万着(約100万米国ドル相当)の寄贈を実施する。
100万米国ドルの寄付金は、人命に関わる極めて緊急性の高い支援である、シェルター、水、食料、医療・衛生支援、法的保護活動などに活用される予定だ。
また、ユニクロなどの店舗で実施している全商品リサイクル活動で回収する衣料のうち、特に子ども服や防寒服をシリア難民に優先的に割り当てて提供するとしている。
シリア危機が発生して3年が経過し、現在シリア難民は200万人(うち100万人以上が17歳以下)を超えている。また、シリア難民の97パーセント以上がヨルダン、レバノン、イラク、トルコなどの周辺国に逃れているが、受け入れ先のインフラが脆弱なため、難民が生活するには多大な支援が必要とされている。また、これから冬を迎え、気温が氷点下まで下がる地域も多く、防寒対策も求められている。
ファーストリテイリングは2006年から全商品リサイクル活動を開始し、今までにバングラデシュやケニア、リベリアなどの世界30ヶ国の難民、災害被災者への支援として、約720万着の服を届けてきている。昨年もヨルダンに逃れたシリア難民に22万着の服を寄贈したほか、今年1月にはファーストリテイリングの社員が現地を訪問し、直接衣料を届けている。また同社は難民支援だけではなく昨年からアジア数カ国とセルビアの教育分野でのサポートをUNICEFを通じて行っている。
同社は「高い倫理観を持った地球市民として行動する」という行動規範を掲げている。今回の支援はこれに基づいている。しかしこういったことを個人ではなく企業が有言実行するのはなかなか難しいことだろう。それをクリアしてしまうところにファーストリテイリングの底力を感じるのは筆者だけではないだろう。国際社会が抱える課題や地球環境保護に対し、様々な支援を継続して行う同社の活動に今後も注目したい。(編集担当:久保田雄城)