長谷川、百田両氏の経営委員で国会激論

2014年03月13日 08:26

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長谷川三千子氏や百田尚樹氏をNHKの経営委員から解任するよう求める意見が12日の参院予算委員会で民主党の小西洋之議員から提起され、速記録がとまる激論になった

 公共の福祉について公正な判断ができるのか疑問だとして長谷川三千子氏や百田尚樹氏をNHKの経営委員から解任するよう求める意見が12日の参院予算委員会で民主党の小西洋之議員から提起され、速記録がとまる激論になった。任命権者の安倍晋三総理は「思想・信条は自由。経営委員会でどういう発言をしているかがポイント」と反論した。

 この日、小西議員は「放送法に基づくNHK経営委員の任命権者は安倍総理ただひとり。国会は、同意権はもっているが任命権はもっていない」としたうえで、経営委員の長谷川氏は産経新聞への投稿で「日本国憲法はまったくめちゃくちゃの憲法」とし、2012年の著書では「日本国憲法は日本の近代史における最大の汚点」と述べ、他の著書でも「日本国憲法の国民主権はまちがった思想」「大日本帝国憲法は改正する必要がなかった。アメリカ合衆国憲法よりも人権保障の水準が高かった」などとしていると指摘。

 そのうえで「国民の皆さまの受信料で支えられるNHKの最高経営メンバーにこういう方がいらっしゃることを理解できる国民の皆さんはいらっしゃらないと思う」と適格性に問題を提起した。「放送法上のNHKの経営委員に任命要件である、公共福祉について公正な判断ができる方なのか」と総理に迫った。百田氏についても安倍総理は作品が良く読まれているとするのみで、経営委員としてどうかとの疑問には正面から答弁することはなかった。

 新藤義孝総務大臣は小西議員の長谷川氏の日本国憲法に対する認識や大日本帝国憲法に対する認識、アメリカ合衆国憲法より大日本帝国憲法の人権保障の水準は高かったなどとした指摘について「日本国憲法がまったくめちゃくちゃな憲法と長谷川委員が言ったのは、国家が一切の力を放棄するとした日本国憲法の平和主義は国家主権の放棄であり、そこでは国民主権は成り立たないどころか、近代憲法自体が成り立ちません。国民の基本的人権を守ることも不可能になりますといっている。だから、基本的人権を守るためには、この憲法はまだ物足りないのではないですかということを主張しているのであって、基本的人権を大切だといっている」と反論した。また「経営委員は総理が任命するが、国会の同意を得ている」とも反論した。

 関連質問で小川敏夫議員が言論の自由に関して長谷川委員は「大日本帝国憲法と合衆国憲法とは同じようなもの。だから大日本帝国憲法は変える必要はなかった」としたが「まったくの間違いであると同時にこのような方が経営委員としてふさわしいのか」と改めて疑問を提起。小川議員は「法律の範囲内で言論の自由があるとするのが大日本帝国憲法であり、言論の自由を制限するような法律をつくってはいけないとするのが合衆国憲法。民主主義の根幹である言論の自由に対し、こうした間違った見解を持っている人物を経営委員に任命した」と総理を追及した。

 新藤総務大臣は「経営委員会は経営委員の合議体でもって運営がなされており、経営委員が個人で職務執行することはできない」と反論し、「合議体なので経営委員会の中立性は保たれている」と個人の思想・信条で中立性が犯される心配はないかのような答弁を行った。(編集担当:森高龍二)