政府エネルギー案は見直しを 日弁連

2014年03月14日 09:47

日本弁護士連合会の山岸憲司会長は政府のエネルギー基本計画案に対し「原発をエネルギー需給構造の安定性に寄与する重要なベースロード電源と位置づけたこと」や「原発の新増設を否定していないこと」、再生可能エネルギーについては「積極的に推進していくとあるのみで、今後の導入目標は設定されていないこと」などをあげ、政府案は「根本的に見直すべき」として連合会として見直しを求める声明を13日までに発表した。

 山岸会長は「原子力発電所の新規制基準は原発の安全性を確保するに足るものではない」としたうえで「福島原発事故から3年を経過してなお、14万人を超える人々が避難を余儀なくされ、汚染水問題など事故処理も損害賠償も進んでいない。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第5次評価報告書は地球温暖化による気候の異変が加速的に進行し、深刻な影響が数世紀にわたって継続することを改めて示し、二酸化炭素など温室効果ガスの排出削減を強く促している。しかるに原子力利用に固執し、石炭火力発電所も新増設を進めるとする政府案は福島原発事故から教訓を学ばず、原子力からの撤退を求め、地球温暖化による被害を最小化する取組を求めている多くの国民の声に背を向けたものといわざるを得ない」と厳しく批判。

 山岸会長は「計画案は原発依存度について省エネルギー・再生可能エネルギーの導入や火力発電所の効率化などにより、可能な限り低減させると述べるものの、具体的には今後、確保していく規模を見極めるとし、新増設を否定していない」と懸念。

 あわせて「核燃料サイクル政策でも、再処理やプルサーマル等を推進するとしている。福島原発事故によって原子力に対する不信が高まっている国民・自治体との信頼関係のために広聴・広報を掲げるのみで、真摯に国民の声を汲み上げ、対話する姿勢はみられない」と経団連など経済界の要望や経済優先の姿勢を強く批判した。(編集担当:森高龍二)