東芝<6502>のNAND型フラッシュメモリ技術が韓国企業に不正流出した。警視庁は13日、東芝の提携先であるサンディスクの元社員を不正競争防止法違反の容疑で逮捕した。新聞などの報道によると、容疑者は容疑をすべて認めているという。
容疑者は、東芝が現在も米国サンディスク社と共同開発・共同生産を行っているNAND型フラッシュメモリの技術に関する機密情報について、韓国SKハイニックス社に不正に流出した疑い。これを受け、東芝は同日、韓国SKハイニックス社に対し、不正競争防止法に基づき損害賠償等を求める民事訴訟を東京地方裁判所に提起した。
事件は2008年当時、容疑者である韓国SKハイニックス社の元従業員が東芝の四日市工場内でサンディスク社の従業員として共同開発に従事していた際に起きた。東芝の機密情報を不正に持ち出し、当該情報が韓国SKハイニックス社で使用されていた。容疑者が不正競争防止法違反の容疑で逮捕された事実を受けて、訴訟は提起したもの。
東芝と韓国SKハイニックス社は、現在、提携・取引関係にある一方で、NAND型フラッシュメモリの分野では互いに競争関係にある。コア技術であるNAND型フラッシュメモリに関わる東芝の機密情報が漏洩した疑義が生じ、調査を進めてきたが、その過程において看過できない不正の事実が発覚したことから、今回訴訟提起に至った。
NAND型フラッシュメモリは、半導体メモリの一つでSDカードやUSBメモリに使われる。東芝は、1989年に従来の不揮発性メモリを超える大容量と低価格を実現させるNAND型フラッシュメモリを開発し、実用化した。以来、独自の応用分野の開拓を行うとともに、国産で初めての世界標準メモリとしてデファクトスタンダード化に成功した。
東芝、ひいては日本の半導体の虎の子と言える技術だけに、日本の半導体産業にとっては痛手だろう。断固とした処置を願いたい。(編集担当:慶尾六郎)