低価格で品質が良い商品が売れている。今月3日発表のトレンド総研の「消費増税前の買いだめ・まとめ買いに関する意識・実態調査」によると、消費者は「買うときは多少値の張るものでも買う」と同時に「低価格でも十二分に満足度が得られる」を購入の基準にしていると分析された。
その一例がジェネリック家電だ。大手の家電メーカーではないが、性能・品質的にはひけをとらない。従来の「安かろう、悪かろう」の定説は覆されつつある。ジェネリック家電は「集英社」および「ジェネリック家電推進委員会」の商標であり、漠然とノーブランドの格安な家電製品全般を指すものではない。
ジェネリック家電の特徴として挙げられるのは、
・必要最小限の機能
・旧世代の技術や部品の使用、大量生産されている定番部品を使用するなど、製造コストの削減
・広告費をかけない
など、価格を抑える工夫をしている商品を指す。
昨年2月、国内メーカー、ディーオンが発売した「カンデラ」32型液晶テレビは約4ヵ月で完売し話題を集めた。大手で使われなくなったシステムLSI(大規模集積回路)を使い開発費を削り、価格を約2万円にまで抑えた。以前はこうしたジェネリック家電メーカーの商品を取り扱わなかった家電量販店も販売を始めたことも大きく後押しした。
つまりシンプルで使いやすく、低価格な商品が求められている。これは長年、高付加価値商品を追求してきた日本の大手家電メーカーへの警鐘かもしれない。同時に大手ブランドなら安心と盲目的に信頼されてきた時代の終わりを告げるものかもしれない。大手家電メーカーではこうしたジェネリック家電メーカーとの価格競争に巻き込まれるのを避けるため、タブレットと家電を連動させるなど、より便利で高機能なスマート家電の開発を急ぐ。大きく消費が落ち込むことが予想される消費増税の導入後、ジェネリック家電とスマート家電はうまく共存していけるのか、どちらかに軍配が上がるのか、消費増税後に注目したい。(編集担当:久保田雄城)