「うまい、やすい、はやい」が売りの吉野家の牛丼だが、「やすい」に関してはいささか危うい雰囲気になってきた。4月からの消費税アップの影響は牛丼にも及んでいる。吉野家ホールディングス<9861>は11日、2014年4月1日10:00より全国の吉野家店舗で販売する商品の価格を改定すると発表した。
吉野家の牛丼(並盛)の販売価格は、現在の税込価格280円(本体価格267円)から税込価格300円(本体価格278円)に値上げする。また、牛丼・アタマの大盛は税込み価格380円(本体価格362円)から390円(362円)に、牛丼・大盛は440円(420円)から460円(426)に、牛丼・特盛は540円(515円)から560円(519円)に、牛すき鍋膳・並盛は580円(553円)から590円(547円)に、牛チゲ鍋膳・並盛は580円(553円)から590円(547円)に、牛カルビ丼・並盛は480円(458円)から490円(454円)に、ロース豚丼・並盛は480円(458円)から490円(454円)にそれぞれ値上げする。ただし、競馬場内店舗、そば処吉野家等、一部の店舗では価格が異なる。
吉野家では、今回の値上げを消費税新税率の導入および原材料の高騰と長引く円安によるとしている。また、この価格改定に伴い、牛丼の味・品質の改良を同時に進めていくとしている。具体的には肉の熟成度向上、タレの構成成分改良、玉ネギの増量等により、味・品質を高めていくという。つまり、値上げはするがその分品質をもっと上げるというアピールだ。
吉野家の月次報告によると、13年度は既存店(12年2月28日以前に開店した店舗)・全店ともにそれぞれ客単価は下がっているものの、売上高は既存店が前期比で7.3%、全店が同11.2%上がっている。また、客数も既存店が13.4%、全店が17.4%上がっており、好調だ。
この値上げが今後の業績にどう響くのか。定番の並盛で20円の値上げである。300円でおつりがくる、こないは「やすい」が売りの吉野家の牛丼にとって、大きいと思うのは筆者だけだろうか。(編集担当:慶尾六郎)