【日経平均】昼下がりの謎めく乱高下劇場の結末は51円高

2014年03月19日 20:46

 メガバンク3行は5円高の三井住友FG<8316>以外は値動きなし。野村HD<8604>は5円安。トヨタ<7203>は後場一時プラスに浮上したが結局42円安で、ホンダ<7267>も同じ値動きで8円安、マツダ<7261>も9円安など自動車関連は軟調だった。新規上場したジャパンディスプレイ<6740>が公開価格を下回る値動きでも、中・小型液晶事業を切り出しておのおの4.2%出資したソニー<6758>は11円高、東芝<6502>は8円高、日立<6501>は16円安。日立は東原敏昭次期社長が「将来、営業利益率を10%以上にする」と語り売買代金3位に入ったが、前日の日立マクセル<6810>に続く思惑外れが響いた。茂原工場に続き姫路工場もジャパンディスプレイに売却するパナソニック<6752>は5円安。シャープ<6753>はアップルのiPad 用の液晶の調達先がシャープからサムスンに変更されるという報道で13円安、値下がり率17位で終えたが、それを最初に報じたのは韓国メディアだった。

 配当、株主優待の権利確定イベントを来週に控え、高配当利回りで定評がある医薬品大手が買いを集め業種別で首位に。武田薬品<4502>が売買代金10位に入り80円高、中外製薬<4519>が75円高、アステラス製薬<4503>が70円高で、日経平均プラス寄与度の6~8位に揃い踏みした。ドラッグストア「ハック」のCFSコーポレーション<8229>も2月期の業績上方修正を好感され35円高で値上がり率1位に入り、ディフェンシブ系のヘルスケア関連は堅実だった。旭化成<3407>は、子会社が開発した医薬品のライセンス契約がらみの民事裁判でスイスの企業に勝訴し、損害賠償で特別利益530億円の計上が確定し、今期純利益を650億円から980億円に大幅上方修正して6期ぶりに最高益を更新するが、5円高どまりだった。

 値上がり率2位のビットアイル<3811>は60万株上限の自社株買いを発表し44円高、同3位のツガミ<6101>はスマホ向けの工作機械が好調で、2015年3月期の純利益が今期の2.2倍という業績観測で41円高だった。前日に公示地価が発表され三大都市圏では6年ぶりに上昇。三菱地所<8802>は35円高だったが三井不動産<8801>は4円安、住友不動産<8830>は12円安。日銀の追加金融緩和を首を長くして待っている。

 ローソン<2651>は社長交代人事を発表したが140円安。新浪剛史現社長兼CEOは代表権を持つ会長になり、5月1日付で玉塚元一氏が就任する。51歳の玉塚氏はかつてファーストリテイリングの社長を務めた。

 この日の主役は東証1部に新規上場したジャパンディスプレイ(JDI)。公開価格900円に対して9時27分に769円の初値がつき、14.5%も安い黒星スタート。前場は売買代金でランキング1位のソフトバンクをしのぐ時間帯もあるなど活発に売買され売買高、売買代金とも2位に入ったが、終値は763円で公開価格に遠く及ばなかった。前日上場した日立マクセルが再上場の初日早々カラ売り規制が発動されるほどの軟調ぶりで、それが伝染したかのような上場初日だった。

 2011年11月に産業革新機構、ソニー、日立、東芝の合弁で設立され3社の中・小型液晶ディスプレイの製造部門を統合したが、実態は事実上の国営企業。だが産業革新機構は新規上場に際し保有株の約半分を売り出した。業績はスマホ向けを中心に好調で、製造拠点として能美工場、茂原工場に続きパナソニックの姫路工場を取得して1000億円を投資する計画を明らかにした。しかしIDCジャパンの調査では今年のスマホ出荷台数は前年比1%減の見込みで、産業界を広く潤すスマホ特需がいつまで続くか、わからない。(編集担当:寺尾淳)