【日経平均】メジャーSQ日は底なし沼の下落で488円安

2014年03月14日 20:13

 13日のNYダウは231ドルの大幅安で4日続落。NASDAQも反落した。朝は新規失業保険申請件数や小売売上高の数字が良くプラスで始まったが、李克強首相が金融商品のデフォルトについて「個別の状況では避けがたい」とまで言う中国の経済不安、アメリカのケリー国務長官もドイツのメルケル首相もロシアに警告を繰り返しウクライナをめぐる地政学的リスクに改善の兆しなく、NYダウは底なし沼に足をとられたようにズブズブと沈み続けた。リスク回避の円買いで、14日朝方の為替レートはドル円は101円台後半、ユーロ円は141円台前半まで円高が進んだ。

 シカゴCME先物清算値は6月限で14350円。権利配当落ち分は80円程度とみられる。未明に瀬戸内海で震度5の地震も発生して外部環境は最悪、大幅安覚悟の状況のもとメジャーSQを迎えた日経平均は289.70円安の14526.28円で始まる。主力銘柄に値がついて午前9時8分に14408円で底を打った後は少し戻す。3月限の先物・オプションのSQ清算値14429.87円が出て、CMEの清算値プラス権利配当落ち予測値とほぼ一致。その後の日経平均はおおむねSQ値を少し上回るレンジの小動きで推移した。上海、香港市場がマイナスで始まっても反応しなかったが、前引は14411円でSQ値を割り込んだ。

 後場は一段安の14400円割れスタート。14400円にときどきタッチしながら14300円台後半で水平飛行。そこへ、毛沢東の出身地の中国湖南省の長沙市で、複数の犯人グループが刃物で通行人を次々に襲い3人が死亡する無差別テロ発生というニュース速報。「伏魔殿」から殺人鬼も出てきて上海、香港市場は一段安。日本の1月の鉱工業生産指数確報値が発表されて速報値から0.2ポイント下方修正されたこともあり、日経平均は午後2時前に14300円台前半まで下げ、さらに2時を回ると前日比で500円を超える下落になり14300円も割り込む。ズブズブ沈んでいく底なし沼はNY市場も東京市場も変わりなかった。2時10分の14280円で底を打って14300円台に戻るが、それが精いっぱいで終値は488.32円安の14327.66円でSQ値から102円も低く3日続落。1勝4敗、前週末比で946.41円も下落して今週の取引を終えた。日中値幅は259円と大きい。TOPIXは-38.76の1164.70で9日ぶりに1200割れ。メジャーSQなのでさすがに売買高は32億株、売買代金は3兆2403億円と多かった。

 東証1部のプラス銘柄はわずか33。値動きなしも10銘柄だけ。マイナス銘柄は1749で全体の97%を占めた。33業種別騰落率は全て下落。下げ幅が小さいセクターは水産・農林、海運、空運、不動産、鉄鋼、小売など。大きいセクターは電力・ガス、機械、医薬品、ゴム製品、精密機器、パルプ・紙などだった。

 日経平均採用225種は全て値下がり。マイナス寄与度1~4位はご存知「四天王」で合計で-99円と日経平均を押し下げていた。メジャーSQなので四天王は売買代金1位、4位、6位、7位にランクインした。

 19年ぶりに平均0.5%のベア実施と報じられたメガバンク3行は、みずほ<8411>3円安、三菱UFJ<8306>21円安、三井住友FG<8316>122円安で揃って今年1月以来の最安値に沈む。証券大手も野村HD<8604>13円安、大和証券G<8601>34円安。自動車はトヨタ<7203>が169円安、ホンダ<7267>が114円安、未明の地震で山口県の防府工場が操業を停止したマツダ<7261>は22円安。電機ではNEC<6701>が一時プラスに浮上して健闘したが後場の一段のリスクオフに押し流され4円安で終えた。富士通<6702>は2期ぶりに期末配当2円を出すと発表したが24円安。ソニー<6758>は78円安、シャープ<6753>は12円安、フラッシュメモリー技術の情報漏洩問題で韓国のSKハイニックス社を提訴する東芝<6502>は18円安だった。

 四国電力<9507>は未明の地震で伊方原発の再稼働が遅れるという連想が働き129円安で値下がり率3位。東北電力<9506>は84円安で同11位。東京電力<9501>は17円安で、電力・ガスセクターは業種別で最下位。メリルリンチが海運セクターと日本郵船<9101>、商船三井<9104>、川崎汽船<9107>の投資判断を引き上げたが、日本郵船は4円安、商船三井は9円安、川崎汽船は2円安。それでも業種別で上から2番目だった。

 主力銘柄総崩れで焼け野原のようになった東証1部で株価プラスで終えた「廃墟の鳩」を探すと、真珠をくわえたTASAKI<7968>が最も高く飛んで一時ストップ高の79円高で値上がり率1位。11~1月期決算での大幅黒字転換を好感された。同2位は木材ではなく光学ガラスのオハラ<5218>で4月中間期と10月通期の業績見通しを上方修正して33円高。40円高で同4位のディップ<2379>は「バイトルドットコム」が好調で2月期の業績を上方修正した。建機レンタルのカナモト<9678>と西尾レントオール<9699>は仲良く10円高。「ジェネリック家電」の山善<8051>が12円高で値上がり率7位、ドウシシャ<7483>が15円高で同15位に入ったのは、消費増税後の生活防衛意識の高まりで見直されるという読みか。100円ショップのワッツ<2735>も6円高だった。

 小売専門店チェーンに健闘したところがあり、ファッションのユナイテッドアローズ<7606>は20円高、ハニーズ<2792>は6円高、ヨンドシーHD<8008>は2円高。ドラッグストアのクスリのアオキ<3398>は60円高で値上がり率13位、ココカラファイン<3098>は25円高。新興市場の「介護ロボット」関連銘柄はサイバーダイン<7779>の新規上場を26日に控え、菊池製作所<3444>は580円高で10.43%上昇し、ハーモニック<6324>は100円高。しかしヒーハイスト精工<6433>は13円安だった。

 この日の主役は12日に新規上場したばかりのマザーズのエンバイオHD<6092>。前日に初値がつき一時ストップ高だったが、この日も人気を集めストップ高買い気配が長く続いた。終値は400円高の2011円で公開価格の3.46倍。もともとSQの日には荒れる東証1部の主力銘柄を避けて新興市場に向かう流れがあり、この銘柄が手がける土壌汚染対策は震災復興にも東京五輪にもからんで地味でも重要なビジネスで、しかも直近IPO銘柄自体も物色の対象になるので短期売買の格好のターゲットになっていた。(編集担当:寺尾淳)