11日のNYダウは67ドル安と続落しNASDAQは4日続落。住民投票を16日に控えたクリミア自治共和国議会が独立を宣言してウクライナ情勢は緊張が続き、中国経済不透明感で原油や銅の価格が下落したのも重し。販売不振のマクドナルドは買い戻され3.76%の大幅高だったが、ゴールドマンサックスが2.09%下落。GMはリコール問題で5.15%の大幅安だった。12日朝方の為替レートは、ドル円が102円台後半、ユーロ円が142円台後半で、前日から円高が進んでいた。
取引時間前にバッドニュース再び。2月の国内企業物価指数は前年同月比+1.8%でも前月比では-0.2%と頭打ち。だがそれより衝撃的だったのが法人企業景気予測調査の大企業全産業の景況判断指数。1~3月期は+12.7で10~12月期の+8.3%から大きく伸び5四半期連続プラスだが、4~6月期は-9.8で消費増税をまたいで18.1ポイントの大幅下落予測。10日発表の景気ウォッチャー調査や11日発表の日経のアナリスト調査と同様に、3月までの先食いでスカスカになる「需要の消滅」でマイナス成長とみている。
シカゴCME先物清算値は15025円で、日経平均はそれにさや寄せして220.31円安の15003.80円で始まる。だが、さや寄せだけでは済まなかった。アッと言う間に15000円を割り込み、午前9時台は14900円台後半でとどまったが、10時台に一段安で14900円台前半に下げ、上海市場がマイナスで始まると14900円を大きく割り込んで10時45分に14852円の最安値をつける。上海総合指数がプラスになったりマイナスになったりを繰り返すようになると14900円近辺に戻り、前引は330円安の14893円だった。
後場は前引と同水準で始まり、おおむね14900円プラスマイナス50円の値幅で動く。「SQ週の水曜日は荒れる」と言うが、300円安を超える下げでも値動きは静かで、閑散相場で先物が大暴れするイメージではない。ドル円も103円近辺で安定。しかし2時台になると14800円台前半に水準を切り下げ2時24分に14828円の最安値をつける。2時にバッドニュースの追い討ちがかかり、2月の消費動向調査・消費者態度指数の一般世帯が38.3で昨年12月から3ヵ月連続の悪化。生活防衛意識が高まる原因はもちろん20日後に迫った消費増税で、それは今週の国内経済指標の「諸悪の根源」と化している。ドル円も103円を割り込み、東京のお天気は春めいても終値は393.72円安の14830.39円と大寒波襲来。日中値幅は192円。TOPIXは-26.27の1206.94。売買高は20億株、売買代金は1兆9019億円で4日連続で2兆円を割った。
「円高」「クリミア議会の独立宣言」「LME銅先物価格の2.6%、174ドルの暴落」「法人企業景気予測調査の4~6月期の悲観的な読み」「消費者態度指数の3ヵ月連続悪化」「日銀会合、黒田総裁発言への失望」「14日のSQ清算値を低く抑えたい思惑」などの悪材料がからみあっての大幅下落。特に銅は、世界の約4割を消費する中国では工業用の実需だけでなく、企業が銀行借入や社債発行の担保として銅地金を差し入れる商習慣があり銅価格の低下は信用不安に直結するという。そのため中国がらみのリスクオフ要因になった。
値上がり銘柄は79しかなく全体の93%の1667銘柄が下落。当然全セクターがマイナスで、下げ幅が小さいのは空運、水産・農林、医薬品、サービス、小売、食料品など。下げ幅が大きいのは海運、非鉄金属、石油・石炭、金属製品、証券、パルプ・紙などだった。
日経平均採用225種で値上がりは2銘柄、値下がりは221銘柄、値動きなしが2銘柄。プラス寄与度1位は前場に年初来安値をつけながら後場に16円高、値上がり率11位まで上昇し敢闘賞もののSUMCO<3436>、2位はSMBC日興証券がレーティングを引き上げた古河電工<5801>。寄与度は合計でわずか+0.09円つまり9銭。マイナス寄与度1~4位は「御三家」プラスKDDI<9433>の「四天王」が先物売りのいけにえで揃い踏み。寄与度は合わせて-119円で下落幅の約3分の1を占めた。値動きなしはヤマトHD<9064>とミツミ電機<6767>だった。
金融も自動車も電機も大手は全面安。その中でダイハツ工業<7262>が33円高と目立った。「タント」のドアが閉まらず約7万台をリコールしたが、軽自動車税の増税を理由にベアゼロ回答をして安倍内閣に逆らったのが評価されたか? この日は春闘の一斉回答日だった。ローム<6963>はUBSが目標株価を引き上げて30円高で終えた。