18日のNYダウは88ドル高。ロシアのプーチン大統領はクリミア半島をロシアに編入する条約に調印し、世界を敵に回した。それでも演説で「ウクライナの分割は望まない」と述べると事態はこれ以上は悪化しないと見越してNYダウは上昇。それはマーケットが「ウクライナは世界の平和のためにクリミア半島をロシアにくれてやれ」と言っているに等しい。ウクライナ軍基地でロシア軍との小競りあいが起きてウクライナの将校が死亡したが反応薄。小国の運命も人の命もマーケットの材料にはならない。19日朝方の為替レートは、ドル円が101円台前半、ユーロ円が141円台前半で前日よりも円高に振れた。
取引時間前に発表された2月の貿易統計は20ヵ月連続の8003億円の貿易赤字。シカゴCME先物清算値は14365円で権利配当落ちの80円を足すと14445円。日経平均は84.46円高の14495.73円で始まる。9時台は14500円台に乗せる時間が長く、9時23分に14514円まで上昇したが9時40分頃から下落が始まり、しばらくプラス圏を維持したが、10時30分に上海市場も香港市場も安く始まると日経平均も10時47分に前日比マイナスに落ち込む。14400円も割り込み11時13分には14345円まで下げ、前引は14354円だった。FOMC結果待ちで商いが薄い上に、東証1部の大型新規IPOに吸い取られて主力銘柄には買いの手が回らないようだった。
後場は少し高く始まってもつかの間で、午後0時48分には14302円と14300円割れ寸前まで下落する。その後は14300円台前半で安値もみあい。ところが1時台に突然の株価棒上げが発生。14400円を突破してプラスに浮上し150円近い上昇をみせる。TOPIXもプラスに浮上。短い踊り場を経た後、ドル円が101円台後半まで急進する為替の円安に合わせて日経平均も14500円をあっさり突破し2時までに14590円まで上昇。さらに2時を回ると14600円台にも乗せる。しかし2時5分の14663円をピークに上昇が一服し14500円台に戻る。1時台の急上昇は、いくら薄商いでも日銀のETF買い介入、人呼んで「日銀砲」ではこれほどの上昇はありえず、その日銀の黒田総裁が講演で追加金融緩和について何かほのめかしたという憶測もあったが、謎めいたままに大引け前には14400円台まで下落して、先物主導で乱高下した後場の取引終了。日経平均は51.25円高の14462.52円で続伸し、日中値幅は361円もあった。TOPIXは結局-1.61の1164.33で反落。売買高は22億株。売買代金は2兆774億円で3日ぶりに2兆円台に乗せた。
日経平均はプラスだったが値上がり銘柄571より値下がり銘柄1082のほうが多かった。業種別騰落率も10対23で下落セクターが数でまさり、プラス上位は医薬品、小売、食料品、化学、不動産、倉庫など。マイナス下位は鉱業、非鉄金属、電気・ガス、海運、証券、輸送用機器などだった。
日経平均採用225種のプラスは98銘柄、マイナスは112銘柄でこれもマイナスが優勢。プラス寄与度1位はファーストリテイリング<9983>で+23円。早朝に海外メディアがJクルーの買収交渉破談と速報。「ユニクロ」の約3万人のパート・アルバイトのうち約16000人を正社員化という報道もあった。2位は2月の工作機械受注で中国の電気機器、精密機器向けの受注が大幅に増加したファナック<6954>で+20円、3位はKDDI<9433>だった。マイナス寄与度1位はデンソー<6902>で-6円、2位が連日の大幅上昇の反動で下げたソフトバンク<9984>で-3円、3位がTDK<6762>だった。