全国に組織網を持ち、会員数約2700万人を誇る、消費者団体、日本生活協同組合連合会(生協連)は、このほど家庭向けに電力を供給する検討に入った。電力会社を選べるようになる電力販売の自由化で、米や野菜などの農産物と共に、太陽光など自然エネルギーで発電した電力を組合員に届けようというもの。
全量価格買い取り制度を政府が打ち出した以後、家庭用向けの電力小売りに参入する企業も多くなったが、消費者団体では初の試みとなる。
「脱原発」をスローガンに掲げる生協連は、6月の総会で、2013年~15年度の中期計画に、「電力小売り研究」を盛り込んだ。全国340の生協会員が自然エネルギーの普及拡大を目指す方針をまとめたもの。
生協連としては、まずすでに自由化されている事業所向けの電力販売に参入するため、電力小売りの新会社を設立するとしている。そして各地に点在する生協の店舗や倉庫の屋根などを活用し、太陽光発電で電力を生み出し、その上で家庭向けに参入することを目指す。販売する電力は、全国の生協が始めた太陽光発電などから調達する模様。
2011年の生協連の調査で、会員の約7割が原発廃止を求め、約5割が再生可能エネルギー普及に関わりたいとの答えが返ってきた。家庭に供給する電気料金の設定は、自然エネルギーの今後の普及で、発電コストがどのくらいかかるかによる。生協連としては、料金よりも「安全・安心」な自然エネルギーの電力を生み出し、米や野菜を届ける本業との相乗効果があると判断したといえよう。
電力販売の全面自由化は、6月26日閉会した通常国会で廃案となったが、秋の臨時国会で可決されれば実現することになる。「脱原発」を目指す生協連としては、その代替え電力を再生可能エネルギーに求め、全国に点在する会員に太陽光発電などの自然ネネルギーを普及させることにより、食の安全性をより強調していくことが狙いとみられる。(編集担当:犬藤直也)